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5冠より価値ある4冠。
~萩野公介、日本選手権での泳ぎ~ 

text by

小川勝

小川勝Masaru Ogawa

PROFILE

photograph byYusuke Nakanishi/AFLO SPORT

posted2014/06/02 10:00

5冠より価値ある4冠。~萩野公介、日本選手権での泳ぎ~<Number Web> photograph by Yusuke Nakanishi/AFLO SPORT

萩野は6月19日から行なわれるジャパン・オープン(辰巳)では400m個人メドレー、100m背泳ぎに加え、100、200mバタフライにも出場を予定している。

 日本水泳選手権は、昨年に続いて萩野公介(東洋大2年)の6冠挑戦が最大の話題だった。しかし最終的には個人メドレーと自由形の4冠で終わった。昨年の5冠より優勝は一つ減った形だ。日本選手権史上、初の6冠挑戦として話題となった昨年に比べると、今年の報道は、それほど大々的なものではなかったように思う。

 だが記録の内容を見ていくと、昨年の5冠より、今年の4冠を含む6種目の結果のほうが、ずっと価値の高いものであることが分かる。その点をじっくりと見ていこう。

●萩野公介 日本水泳選手権6冠挑戦 昨年と今年の比較
 種目 年度 順位 タイム 世界水泳
相当順位
200m自由形 '13
'14
(1)
(1)
1分46秒28
1分45秒89

5位
400m自由形 '13
'14
(1)
(1)
3分45秒42
日 3分43秒90

100m背泳ぎ '13
'14
(1)
(2)
53秒10
53秒08

200m背泳ぎ '13
'14
(2)
(2)
1分56秒11
1分54秒23

200m個人M '13
'14
(1)
(1)
1分55秒74
日 1分55秒38

400m個人M '13
'14
(1)
(1)
日 4分07秒61
4分07秒88

※太字は自己ベスト。日=日本新記録。「世界水泳相当順位」は'14年の記録を'13年の世界水泳にあてはめた場合の順位。

 昨年は5冠を獲得したものの、200m自由形と400m自由形のタイムは、そのまま世界大会でメダルに届くレベルではなかった。実際、昨夏の世界選手権で400m自由形の銀メダルを獲得した時は、日本選手権での記録を0秒60更新したうえで獲っている。しかし今年は違う。自由形の2種目とも自己ベストを更新して、400m自由形の3分43秒90は、このまま世界大会でメダルを狙えるタイムになっている。200m自由形も、昨年の世界選手権の銅メダル、ダニラ・イゾトフ(ロシア)のタイムとはわずかに0秒30差。こちらもワールドクラスのタイムに近づいている。

疲労がたまる中での背泳ぎでも、入江に続く2位だった。

 2位に終わった背泳ぎ2種目に関して言えば、昨年にはなかったさらに大きな収穫が、今年はあったと言える。まず100m背泳ぎの決勝は、200m自由形決勝の23分後に行なわれたものの、安定感のあるレースを見せた。背泳ぎの第一人者、入江陵介に先行されながらも自分の泳ぎを貫いて自己ベストの53秒08。これは昨年の世界選手権なら銀メダルに相当するタイムだ。優勝した入江の52秒57は同世界選手権の金メダリストより速いタイム。萩野自身も「自分がどんなにうまく泳いでも52秒5は出ません」と話しており、2位だったが、納得のレースだった。

 200m背泳ぎは、昨年も今年も、大会4日目の最終日に行なわれた。昨年は最終日の疲労もあったのか、自己ベストを更新できず、2位に終わっている。しかし今年は0秒54も更新して1分54秒23での2位。これは昨年の世界選手権なら銀メダルに相当するタイムで、このレベルのタイムを、最終日に出したことには、非常に意味があったと言える。

 4日間で6種目をこなすスケジュールへの適応について萩野は次のように語っている。

【次ページ】 「これくらいやれば体は動くというのが分かってきた」

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