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バルデラマ時代のドラマが大ヒット!?
コロンビア「黄金期」の甘美な記憶。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byGetty Images

posted2014/05/20 16:30

バルデラマ時代のドラマが大ヒット!?コロンビア「黄金期」の甘美な記憶。<Number Web> photograph by Getty Images

「最強チーム」で挑んだ1994年のアメリカW杯、バルデラマは10番を背負い国民に夢を与えた。ペケルマン現監督は「最強」を塗り替えることができるか。

歴戦の名将が語る、現チームへの期待感。

「'94年大会のわれわれは、多くのタレントを抱え、優勝候補だと騒がれながら脆かった。だが、個々がスタンドプレーに固執することなく美しいサッカーを見せたとき、国民はきちんと評価してくれた」

 リベルタドーレス杯優勝経験もあるマトゥラナは、'90年イタリア大会でコロンビアをベスト16に導いている。'01年には同国代表唯一のメジャータイトルであるコパ・アメリカも獲得した。歴戦の名将の目に、現在の代表チームはどう映っているのか。

「ペケルマン(現監督)がチームを掌握して代表は変わった。プレーをするのは選手だが、勝たせるのは監督だ。今の“カフェテロス”は、'90年代当時のチームよりコレクティブになっている」

 左膝を故障したエースFWファルカオの完全回復は見込めそうもない。だからこそ、マトゥラナは今の代表選手たちに協調し合うことの重要性を説く。

「サッカーはチームスポーツだ。一人か二人の選手が勝利をもたらすことはない。現在の選手たちにはトップリーグでの経験があり、('90年代当時とちがい)彼らは日常的に高いレベルでプレーしている。MFグアリンは成熟し、SBスニーガには爆発的な突破力がある。FWグティエレスやMFクアドラドも鍵を握るはずだ。一人ひとりが異なる長所を発揮できれば、今のチームには大きな可能性がある」

全員サッカーに徹した時、コロンビアは強い。

 南米予選のヤマ場も、全員サッカーで乗り越えてきた。'13年10月のチリ戦では、ホームゲームにも関わらず前半に3点リードを許したが、FWグティエレスの反撃弾をきっかけに後半盛り返して、3-3のドローに持ち込んだ。

 南米予選最終節のパラグアイ戦では、敵地で先制された上、数的不利に陥りながらも、主将ジェペスの2得点で逆転勝ちに成功。執念で南米2位突破を決めた。

 選手の個性は異なるが、全員サッカーに徹したとき、昔も今もコロンビアは無類の強さを発揮する。

【次ページ】 ブラジル大会を、いつか思い出すために。

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