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メルセデス、記録づくめの開幕5連勝。
数々の王者を止めたモナコに挑む。 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2014/05/18 10:30

メルセデス、記録づくめの開幕5連勝。数々の王者を止めたモナコに挑む。<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

パワーアドバンテージのあるメルセデスAMGが、直線主体のコースが続いた開幕5戦を制す。強みを発揮できない低速レイアウトのモナコGPで彼らの真価が問われる。

今年の快進撃は、22年ぶりの歴史的快挙。

 メルセデスAMGの強さを物語る数字は、まだある。じつはこの開幕5連勝、すべてポールポジションを獲得し、決勝でも勝利を挙げた“チームとしてのポール・トゥ・ウィン”なのである(優勝はハミルトンが4回、ロズベルグが1回)。

 '04年のフェラーリも、'96年のウイリアムズも開幕5連勝をすべて“ポール・トゥ・ウィン”で飾ったわけではなかった。'04年のフェラーリは4戦目のサンマリノGPでポールポジションをBARホンダのジェンソン・バトンに奪取され、'96年のウイリアムズも5戦目のサンマリノGPでフェラーリのミハエル・シューマッハにポールポジションを明け渡している。

 今年のメルセデスAMG以前に、開幕から5戦連続で“ポール・トゥ・ウィン”を飾ったのは、'92年のウイリアムズまでさかのぼる。つまり、今年のメルセデスAMGの快進撃は22年ぶりの歴史的快挙とも言える。もしかすると、私たちは今年新たな記録の目撃者となるかもしれないのである。

連勝が途絶えることが多い低速サーキット、モナコ。

 '92年以前に開幕から5戦連続でポール・トゥ・ウィンを飾ったのは、あの16戦15勝を挙げた1988年のマクラーレン・ホンダだけである。このとき、マクラーレン・ホンダは、開幕から7戦連続で“ポール・トゥ・ウィン”を飾り、連勝記録は8月のベルギーGPでの11勝まで伸ばした。

 その記録をアイルトン・セナとともに作ったアラン・プロストの姿が、今年スペインGPが開催されたカタロニア・サーキットにあった。「'88年にあなたとアイルトンで作った記録を破ると思いますか?」と尋ねると、プロストは「もちろん、できないわけはない」と答えてくれた。しかし、最後にひと言。

「でも、この世界では何が起きるかわからない」

 次戦のモナコGPは19戦中最も低速な特殊なサーキット。近年でも'04年、'92年、'96年の開幕連勝記録が途絶えた場所が、いずれもこのモナコGPだった。F1の記録を熟知しているアロンソなら、その事実も認識していることだろう。

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