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セカンドに負傷者が続出する阪神。
岡田彰布流リスクマネジメント術とは。 

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岡田彰布

岡田彰布Akinobu Okada

PROFILE

photograph byNaoya Sanuki

posted2014/05/26 10:40

セカンドに負傷者が続出する阪神。岡田彰布流リスクマネジメント術とは。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

開幕時は外野手登録ながら、5月からケガ人続出のセカンドに抜擢、攻守で活躍を続ける大和(右)は、樟南高時代に甲子園で見せた守備力に岡田氏が注目し、阪神が指名した選手だ。

2月に装いも新たにスタートした『メルマガNumber』
Number Webのリニューアルを記念して、1号分を無料公開します!
今回は『野球の神髄~岡田彰布の直言~』。5月22日配信の最新号です。
交流戦について、ケガ人続出の阪神について、好きな食べ物について……。
構成担当のライター・芦部聡さんとのやり取りも含めて、お楽しみください。

 阪神タイガース、オリックス・バファローズの監督を歴任した岡田彰布氏によるメルマガ「野球の神髄~岡田彰布の直言~」の創刊2号をお届けします。

 4月に開幕したプロ野球は、セ・パ交流戦に突入。ここ数年、パがセを圧倒してきましたが、その理由を巻頭で分析しています。

 続いてのテーマは、ケガ人への対応策について。阪神は西岡剛が開幕3戦目にして負傷、離脱を余儀なくされましたが、想定外のアクシデントが発生したとき、監督は何をすべきか。その心構えを語ります。

 さらに今号から読者からの質問に答える「そら、答えるよ」がスタートしました。

(編集部)

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 【1】 10年目の交流戦、開幕。
         ~今シーズンもパが優勢か!?~

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 10年目を迎えた交流戦が5月20日から始まった。過去9回の交流戦を振り返ると、セの優勝は2012年、巨人の一度きり。パのチームが8度も優勝し、2013年度までの通算成績はパ733勝、セ660勝(引き分け47)と、「パ高セ低」である。なぜ交流戦ではパの強さが際立つのか。そして、この傾向は今季も続くのか。阪神で4度、オリックスで3度、交流戦を戦い、オリックス監督時代の2010年に交流戦を制した岡田彰布が、2014年の交流戦を占う──。

ペナントの3連戦と交流戦の2連戦は全然違う。

岡田:いいピッチャーが揃っているから強い。過去パのチームが8度も優勝している理由は、そういうことよ。

岡田彰布
1957年11月25日、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、1980年に阪神タイガースにドラフト1位で入団。1995年にオリックス・ブルーウェーブで現役を引退。その後、オリックス二軍コーチ、阪神二軍監督監督を経て、2004年から2008年まで阪神の監督に就任。2005年にはリーグ優勝に導いた。2010年から2012年はオリックス・バファローズを率い、監督退任後の2013年からはデイリースポーツで評論家を務めている。

 ペナントの3連戦と、交流戦の2連戦ではピッチャーのローテーションが変わる。交流戦の試合日程だと最低5人のピッチャーで回せるわけで、エースの登板機会を増やせる。これは全然違うよ。

 交流戦も最初はホームとビジターで各3試合ずつの36試合制で戦っていて、2007年から現在の各2試合ずつの24試合制に変更されたんやけど、3試合のときはセとパの対戦成績はほぼ拮抗していたやろ?

──36試合制での勝敗数を見ると、2007年はパ105勝、セ104勝、引き分け7。2008年はパ108勝、セ107勝、引き分け1。まったくの互角でした。

岡田:パが上回りはじめたのは2試合制になってからで、それが顕著に表れたのが2010年だったわけや(1位から6位までをパ球団が独占した)。ソフトバンクには和田と杉内、日本ハムはダルビッシュ、武田勝がいて、楽天には岩隈、田中……。エース級の投手がパには各チームに2人おるって感じやったからな。

──今季もオリックスには金子と西がいる。球界を代表するピッチャーは、パに集まる傾向が続いています。

岡田:先発投手が6人いる中で、5番手、6番手の投手はセのほうが上だと思う。だけど、エース、2番手に関してはパが上やな。

初対決で不安に思うのは、バッターのほう。

 初対決で不安に思うのは、バッターのほう。ピッチャーは自分の自信のあるボールを投げれば打たれない、飛ばされないというのが分かってるからな。何度も対戦していれば話は別やけど、初対決では投手が有利よ。

──「細かい野球はセで、力勝負ならパ」なんて言われたりもしますが、そういった野球の違いの影響は?

岡田:もちろん、そういう理由も少なくない。

 それと、交流戦は試合数が少ないから、対戦相手のデータをあまり研究しないというのも大きいな。同一リーグの球団と違って、スコアラーも全試合のデータを分析してるわけじゃないからなあ。せいぜい開幕からひと廻り目、ふた廻り目のデータしか集めていないやろ。

 先発投手のデータぐらいは抑えてるけども、1年間みっちり当たるわけじゃないから、それほど細かくは見てないわけよ。だから、投手力に勝るパを攻略しきれないというのもあるとは思う。

 2010年にオリックスで交流戦を優勝したときは、オレが毎試合ミーティングでセの情報を伝えた。「セでは中日の打線ががいちばん怖いです」なんてスコアラーがトンチンカンなことを言うから、「そら違うよ」と。当時の中日なんてセでいちばん弱い打線やんか!? そんな間違った情報を教えて、ピッチャーを不安にさせて、どないするんやと。

 2試合、3試合のデータだけで判断すると、選手たちに誤った先入観を植えつけることになりかねない。だから、ミーティングのときに「このチームはこう」と黒板に書いて、オレが持ってる情報を全部教えたんよ。

──データは重要だけれど、その扱い方を間違えると失敗する。

岡田:それから阪神や巨人といった人気球団と当たるときは、パのチームは張り切りよるな。

 いまはパの球場にもお客さんがたくさん来てくれるけど、地上波のテレビ中継が入ったり、新聞の記事でも大きく扱われたりとメディアからの注目度はまったく違う。そういった見えない力も無視できないよ。選手たちも目立ちたいやろ(笑)。

【次ページ】 主力選手が負傷で離脱……監督は何をすべきか?

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