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広島・大瀬良大地はさらに化ける!?
「不器用な本格派」を返上せよ。  

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byHideki Sugiyama

posted2014/05/12 11:50

広島・大瀬良大地はさらに化ける!?「不器用な本格派」を返上せよ。 <Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

まさに本格派というに相応しい力感あふれるフォームから速球を投げ込む大瀬良大地。5月12日時点で前田健太と並び4勝でチームの勝ち頭だが、打者に特徴を覚えられるここからが真価を問われる戦いになる。

緩急を用いた4月9日の巨人戦では2本塁打を浴びた。

 本人も長所を「真っ直ぐで押すところ」と自覚しているように、最大の武器は最速153kmのストレートだ。「いつも全力で投げます。器用なことはできません」と、大瀬良はそう自らの投球スタイルを分析するが、事実、これまでスライダー、カットボール、カーブ、チェンジアップとそれなりに球種を持ちながら、ストレートを起点に投球を組み立て、結果を残してきた。

 過去5試合で唯一、緩急を用いたとすれば4月9日の巨人戦になるだろうか。

 ストレートは最速149kmをマークするなど威力はあったが、スライダー、カットボールと主要としている変化球のほか、カーブ、チェンジアップも多投したのだ。しかし、ロペスにスライダー、橋本到にはチェンジアップを捉えられ一発を浴びるなど、結果的にその組み立ては裏目となり、プロ初黒星を喫した。

 緩急とは言ってしまえば、打者に対する1打席単位での攻め方である。いつも全力で、器用なことができないと自認する本格派の大瀬良からすれば、たった1試合で成果を出すのは難儀だったはずだ。

 そこで新たに試みたのが、投げ方そのもののギアチェンジだった。

スライダーとカットボールの多投は同じだったが……。

 巨人戦での教訓を踏まえつつ、ヤクルト戦ではそのスタイルで臨んだ、ということになる。

 データにもはっきり変化が表れていた。

 5回まで打者19人に対し、初球にスライダー、カットボールを用いたのは半分以上の10人。トータルでも64球中40球も変化球を投じた。大瀬良も「石原(慶幸)さんのリードを信じて投げただけですけど、それもあるかもしれません」と、それまでとは異なる組み立てを試みたことについて認めるように、劇的な投球内容の変化だった。そしてその投球の裏には、ギアチェンジの意識が確かにあった。

【次ページ】 ディテールを大切にした投球で、巨人にリベンジを。

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