残り3人は“スペシャリスト”であるほうがいい。

――これで20人です。あとはMFとFWで3枠の控え選手を入れるということになりますが、ボランチに1人（山口または長谷部）、2列目に1人（清武）、FWに1人（大迫または柿谷）という“準レギュラー枠”を使っているので、残り3枠はこの3列にそれぞれ1枚ずつ補強するという考え方でしょうか。

福西   うん、そういう考え方でいいと思う。3人の選び方としては、“スペシャリスト”であるほうがいいよね。

――というと？

福西   守備陣の選び方とは考え方が逆ということ。それぞれのポジションにレギュラーと準レギュラーがいるということは、“最初のアクシデント”にはスタイルを変えずに対応できる。つまり、ケガや累積警告による出場停止。でも、23人という限られた枠で“2度目のアクシデント”があっても同じスタイルを維持するのは難しいから、次に考えるのは選手の起用法によってスタイルを変えること。

――例えば、何としても1点を守り抜きたい時の“守備シフト”、あるいは何としてもゴールを奪いたい時の“攻撃シフト”ということですよね。

福西   そう考えると、流れを変えるための誰かは、スペシャリストであるほうがいい。だから、ボランチなら準レギュラーとしてスタイルに合わせられることを証明してきた青山ではなく、守備能力に長けた細貝を選ぶ可能性が高い気がする。個人的な意見としては、海外でプレーしていて“対外国人選手”に慣れている点も大きなプラス。

――なるほど。

ザッケローニはきっと、“大型FW”を選ぶ。

福西   ＜2列目＞でも同じことが言える。清武は中央でもサイドでも機能する【万能型】だから、監督としてはすごく貴重な存在だよね。彼がいることで、2列目の控えにはスタイルの違う選手を選べる。それに、もっと言えば、柿谷も大迫も2列目でプレーできるから、ここはすごく融通が利く。だから、なおさらタイプの違うスペシャリストが欲しい。

――はい。

福西   分類で言うと、【突破型】だよね。一人で局面を打開できる選手。齋藤、乾、原口という顔ぶれだけど、この中では齋藤の評価が高いんじゃないかな。俺自身も齋藤の突破力に魅力を感じている。

――そうですね。乾は最近ほとんど招集されていないので、ザッケローニの頭の中から一度離れてしまっている気がします。ということは、あと一人、ラストピースをどうするか……。

福西   候補としては4人。いわゆる“大型FW”である豊田、川又、ハーフナー、それから……Jリーグでゴールという結果を残し続けている大久保かな。

――同感です。さて、どうしましょう？

福西   ジョーカーとしての決定力と経験を考えれば、大久保に期待したくなる。

――待望論もかなり根強いですよね。

福西   でも、ザッケローニはきっと、“大型FW”を選ぶ気がする。試合状況によってスタイルを変える際の選択肢として常にそれを模索してきたし、シンプルなメッセージとしてピッチに伝えやすいことも確か。これまでの4年間でほとんど成功しなかったことが気がかりだけど、ここにきて、豊田や川又というタレントが浮上してきたでしょ。豊田は実際に試されてもいる。

――となると、ラストピースは豊田。

福西   その可能性が高い。

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