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メイショウサムソン産駒への期待 

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posted2014/04/24 15:00

メイショウサムソン産駒への期待<Number Web>

父メイショウサムソンを誇りとするその名前は、昨年の桜の頃、少しずつ輝きを放ちはじめた。初めは小さく、しかし一気に大きな輝きとなって世代最高の舞台へと駒を進めた。

管理する杉浦調教師がこの馬をはじめて見たのは1歳の頃。「メイショウサムソンのイメージって派手さがなくてなんだか重ったるい感じでしょ?でもこの馬は手先が軽くて、あ、これならと思ったんだよね」と当時を振り返る。

その後2歳になり、トレーニングを開始。「稽古では走るのになぜか競馬では?っていうのが多かったんだよね」ともどかしい日が続くも、小倉の滞在くらいからよくなってきたようだ。「すぐにチャンスは来るなーって」。その手応えは早速形となった。中山の未勝利を勝ち、続いて山藤賞、そしてダービートライアルのプリンシパルSまで一気に3連勝、最高の舞台への切符も手にしたのである。「実力的にね、考えてもみなかったよ。でもなぜかメンバーをみると、あらあら逃げきれちゃうんじゃない?そしたら本当に勝っちゃった」と半ば苦笑気味に話してくれた。

普段のサムソンズプライドはどんな馬なのか?こっそりサムソンズプライドのことを「サムちゃん」と呼ぶ担当の奥野さんに聞くと「いたっておとなしい扱いやすい馬ですよ」。これは他の厩舎のメイショウサムソン産駒を見ても同じだとか。「常に落ち着いている感じ。よく言えば度胸が座ってるというか」と奥野さんの口調はいつも柔らかだ。と、突然「でも、ごはんの時は別馬です」と苦笑い。ごはんに対する執着がすごくて、準備を始めるだけで「早く!早く!」と急かされるので、最近は洗い場に馬を置いてから見えないように、バレないように準備するとか。そうしないとやることをやってからの順番が守れなくなってしまう。確かにこの日、ごはんを食べているサムちゃんのすぐそばでいろんな話を聞いたのに、サムちゃんは一心不乱にモグモグパクパク。チラリと私たちを見る目がちょっと怖い感じもあって、これはもしかしたら「オレさまがごはん食べてる時にごちゃごちゃうるせーなー」くらい思われたかもしれない。杉浦調教師は「人懐っこいよ」というが、そんなところは見れなかった。「私が行った時はごはん食べてて、そんなそぶりは全く(笑)」と答えておいた。でも洗い場などではスリスリしたり、とてもかわいい面も見せるそうだ。

さて、サムソンズプライドはダービー17着の後、すでに5戦。なかなか思うような結果にはならないが、例えば中山金杯では7着。7着とはいっても勝ち馬とは0.3差。騎乗した田辺騎手も「これならOPでもそこそこいけるかも」と手応えをつかんだ。そして白富士Sでは3着と存在感をアピール。しかし、その後の中日新聞杯は16着、先日の福島民報杯は12着と奮わず。ここで注目したいのは馬体重の変動。それぞれ-10、-4kとなっている。輸送が馬にとってプレッシャーになるのだろうか?「もちろんそれもあるだろうけど、輸送してる時より、競馬場に着いてからだろうね。あ、競馬だって気づいてからはピリピリしちゃうから」特に何をするわけでもないのに、その緊張感が馬体重に表れてしまう。食いしん坊のサムちゃんは、そういう繊細な面もお持ちなのだ。杉浦調教師は「今後はこういうところも克服していかなきゃいけないし、馬自身もう一変わりしないと」という。冷静で厳しく馬を見る杉浦師、昨年の春の勢いも「多分に恵まれた3連勝」と控えめだったが、言葉少ない印象だったこれまでとは違い、今回はかなり話してくれた。時折苦笑いだけではなく笑顔もはさみながら。「期待してるんだろうな」と私は内心にやにやして厩舎をあとにした。

サムソンズプライドは杉浦師のいう「もう一変わり」を宿題に放牧に出た。次に出会う時、また成長しているサムちゃんに期待しよう。

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プロフィール
目黒貴子(めぐろあつこ)
TV東京「土曜競馬中継」のパドック、勝利ジョッキーインタビューを担当したのち、
関東UHF系「中央競馬ワイド中継」にて検量室前リポーター、キャスターとして活躍。
現在は競馬に関するイベントの司会や原稿の執筆など。18年以上競馬に仕事として携わっている。

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