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“モウ”対シメオネの個性派対決。
CL準決勝は屈指のカウンター合戦! 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2014/04/19 10:50

“モウ”対シメオネの個性派対決。CL準決勝は屈指のカウンター合戦!<Number Web> photograph by Getty Images

昨年5月の国王杯決勝でモウリーニョはレアル・マドリーの指揮官として、シメオネ率いるアトレティコと対決。延長の末、アトレティコが2-1で勝利している。

「カウンター対決」の軍配はどちらに?

 PSGとの準々決勝第1レグでは、モウリーニョが「我々は3.5ゴールを決めた」と自嘲したように、守備陣に異例の個人ミスが重なって敗れた(1-3)。

 しかし、ホームでの第2レグでは完璧な修正ぶりを見せる。慎重な入り方から狙い通りの零封勝利(2-0)を演じ、アウェイゴールの差で勝ち上がった。第2レグでリードした直後の失点を境にバイエルンに完敗した、マンチェスター・ユナイテッドとは好対照だ。

 だからこそ、アトレティコ・マドリーとの準決勝は興味深い。もう一つの準決勝レアル・マドリー対バイエルンよりも地味な印象だが、実際にはポジティブな「カウンター強者」対決が期待できる。

絶対の守護神は、実はチェルシーからのレンタル。

 ディエゴ・シメオネ率いるアトレティコは、監督の個性が反映されたチームという意味でも、モウリーニョのチェルシーに通じるものがある。元アルゼンチン代表のシメオネは現役時代、タフなボランチとして知られた。就任3年目のアトレティコも、ちょっとやそっとでは足下がふらつくことはない。今季のCLでは唯一の無敗でベスト4に進出。グループステージから準々決勝までを最少の計5失点で乗り切っている。

 長身で反応も良いティボウ・クルトワがゴールを守り、身体能力に恵まれたディエゴ・ゴディンが4バックの要となる守備陣は、欧州「最堅」レベルのユニットだ。

 加えて、前方にも欧州で最も統率の取れた守りを披露できる攻撃陣がいる。ジエゴ・コスタとダビド・ビジャの両FWは相手ボランチへのプレスを厭わず、ガビ、アルダ・トゥラン、コケといったMFは、いずれも運動量が豊富だ。シメオネのアトレティコは、後方を締め、中盤で執拗に敵を追い回しながらカウンターで結果を勝ち取ってきた。

 五分五分と思われる勝敗の行方を左右する要素として、クルトワ出場の可否がメディアで指摘されている。21歳で既に絶対的な守護神の存在が、アトレティコに安心感を与えていることは言うまでもない。

 しかしその所有権の持ち主は、あろうことか対戦相手のチェルシー。今季が3シーズン目のレンタル移籍契約には、直接対決での起用に1試合4億円台の支払いを伴う項目が盛り込まれているという。100億円規模の負債に苦しむアトレティコにとっては、事実上の起用不可を意味する項目だ。

【次ページ】 クルトワの不在はアトレティコにとって致命傷か?

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