日本では異質の、西洋化された人間だと思います。

――会長はビジネスの分野でも多くの日本人とつながっていると思います。本田選手のようなメンタリティは、日本人にしては珍しいと感じましたか？

「ホンダは日本では異質の存在かもしれません。特有の日本人らしさは感じられず、非常にウエスタナイズ（西洋化）された人間だと思います。まずしっかりと自分のゴール（目標）をセットして、そこに対して道を辿っていく。それを明確にやってのける。

　日本人に限らず、世界を探してもなかなかできる人はいないかもしれません。彼は自然にそれができることが素晴らしい。今の結果も必然的で、偶然ではないと私は考えます」

――サッカー選手ではなかったとしても、例えばビジネスマンでも彼は成功していたでしょうか？

「もちろんサッカー選手として素晴らしいものを持っていますが、ビジネスマンだったとしてもきっと成功していたことでしょう。彼の場合は、自分にリミットを設けていない。限界点があったとしても、それを越えていくためのリーダーシップも備えている。だからどんなことにトライしても、彼は成功する可能性があると思います」

CLを観戦しながら話したミランの話、人生の話。

――先日、ミラノで本田選手と一緒にチャンピオンズリーグの試合を観戦したそうですが？

「そうですね。彼はミランではチャンピオンズリーグには出られない規定になっているので（前所属のCSKAモスクワですでに今季の同大会試合に出場していたため）、ミラノでの決勝ラウンド1回戦のアトレティコ・マドリー（スペイン）戦を一緒にスタンドから観ました。

　そこで彼に接して、非常に成長したなと感じました。なおかつ、彼はリラックスもしていました。ミラノでの生活は快適そうでしたよ。特にロシアと比較すると、完全に違った世界がそこにはありますから（笑）。それもリラックスしていた要因だと思います。

　ミランでのプレーについては、常に成長を見せている。彼はどこにいてもすぐに目標を定めることができる。常にハードワークし、努力をしている。きっと、ミランでもこれまでとはまた違う成功が彼には待っているのではないかと感じています。

　彼とは長い時間、いろんな話をしましたよ。もちろんサッカーの話だけではなく、プライベートなことも話しました。さきほども言いましたが、イタリアとロシアでの生活の違いも含めて。彼がプレーするミランはビッグクラブで、これまでの彼の道とはまったく違う道を歩くことになります。本人もそれを自覚していますし、どうしたら成功できるかを常に考え、その方法を探している最中のようです。

【次ページ】　セードルフとの関係、CSKA移籍の舞台裏。