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香港セブンズの激闘を制し、
日本が果たした大きな前進。
~ワールドシリーズ昇格~ 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNobuhiko Otomo

posted2014/04/18 10:00

香港セブンズの激闘を制し、日本が果たした大きな前進。~ワールドシリーズ昇格~<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

決勝戦で突進する坂井主将。地元・香港を破って勢いに乗るイタリアを寄せつけなかった。

 スタジアムを埋め尽くした4万観衆の拍手が続く中、坂井克行主将が優勝カップを突き上げた。

「今までとは景色が全然違いました。やっと世界のトップと戦う舞台に入れます」

 香港セブンズは、3日間で12万人が詰め掛ける世界最大の7人制大会であり、色とりどりのジャージーやコスプレ姿の観衆が、大量のビールと大音量のロック音楽で大騒ぎする、ラグビーの枠を超えた祭典だ。日本は初開催の1976年からすべて出場しているが、今季戦ったのは、世界の頂点を争うワールドシリーズ(WS)全9大会に出場するコア15カ国への昇格決定戦という特別な大会だった。

 来季のWSは、年間総合上位4カ国が'16年リオ五輪の出場権を獲得する。リオの出場枠は12。残り8枠は大陸別予選などに割り振られ、WS4位に入れない=リオ消滅ではないが、7人制は15人制以上にチームとしての経験、熟練度が重要。世界のトップと対戦を重ねるWS昇格は、絶対のノルマだった。

瀬川智広HCと前指揮官・村田亙の握手に込められた思い。

 そんな重圧の中で、日本は力強く勝ち進んだ。FWの桑水流裕策、BKの坂井主将というベテランがチームを固め、ロマノ・レメキ、ロテ・トゥキリらがパワフルに突破、15人制から加わった新星・藤田慶和、福岡堅樹も大胆に駆け抜けた。

 準々決勝まではすべて圧勝。準決勝では過去2年間で2敗1分の天敵ロシアに14点を先行されたが「今の日本は去年よりはるかに走れるチーム。ロシアは前半の途中から足が止まっていた」(瀬川智広HC)と焦らず反撃し、延長の末に逆転勝ち。3日間で6戦目となった決勝は、開始から桑水流が2連続トライを奪うなど走力でイタリアを圧倒。26-5の完勝でアジア初のコア国入りを決めた日本の7人に、国籍も肌の色も多様なファンは鳴りやまない拍手と歓声で祝福を贈った。

「おめでとう!」

 場内を一周する日本代表にバックスタンドから祝福を贈る人の中に、2年前まで指揮を執り、現代表の多くを発掘し、育てた村田亙前監督の姿があった。15人制が主流の日本ラグビー界で、セブンズは強化予算もマンパワーも限られ、歴代の指揮官は皆、選手の招集にも苦労しながら、懸命に世界に挑んできた。

 新旧指揮官の堅い握手は、日本のセブンズの歴史と前進を象徴する場面だった。

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