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マスターズ初日はパット不調で90位。
松山英樹、成長は「心の扉」の先に。  

text by

舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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photograph byGetty Images

posted2014/04/11 11:45

マスターズ初日はパット不調で90位。松山英樹、成長は「心の扉」の先に。 <Number Web> photograph by Getty Images

グリーンの状態が目まぐるしく変わったことでパットに苦しみ、8オーバーと大きく遅れをとった松山英樹。予選通過へ向けた切り替えも見せ、2日目に挽回の期待がかかる。

松山の自信と、スコットの積み重ねは違うものか?

 奥の深いゴルフ、秘密めいたオーガスタを攻略するためには、やっぱり時間がかかるのだろう。松山には、スコットやミケルソンのような積み重ねは、まだ無い。けれど、スコットが言った「自分はここで本当に戦える」という感覚は、松山の中には醸成されている。いや、そのはずだった。だからこそ彼は「目標は優勝」と言っていたのだ。

 もっとも、松山の中に醸成されているその感覚が果たして「本物」かどうかは神のみぞ知るところ。だが、ここでも「本物か、偽物か」ではなく、松山自身が自分の感覚を信じて突き進んでいけばいい。

 ただし「結果が出るか、出ないか」だけではなく、「結果に近づいた」ことも喜んでほしい。「力が十分か、不足か」だけではなく、「別の力が増えた」「新しい力が芽生えた」ことも喜ぼう。大叩き、大崩れは誰にだって起こりうるけれど、その修羅場を通り抜ける道を広げるか、狭めるかは、自分の気持ちの持ち方次第。入り口を広げると、新しい気づきも、どこかから入ってくるはずだ。

首位のビル・ハースが口にした「明日は、新しい一日」。

 今年の24名の初出場者の勝利への扉は、今なおワイドオープン。スコットの連覇への扉は、彼自身が初日から自力で開きつつある。

 優勝だけを目指してティオフした松山は、この日のラウンド中は、自ら道を狭め、苦しみ、大叩きに終わった。しかし「今できることをやる」をモットーとする彼は彼らしく、ラウンド後は気持ちを切り替え、予選通過への道を開こうと必死の練習を続けた。

 松山のその必死さは、明日こそ勝負の女神やオーガスタの魔女に受け入れてもらえるかもしれない。

 単独首位で初日を終えたビル・ハースが、素敵な一言を口にした。

「明日は、新しい一日」

 松山は新しい一日を迎えるためにも、心の扉を少し緩めて、明日への道を開いてほしい。

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松山英樹
アダム・スコット

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