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涌井の穴を埋めるのは、
大化けした5年目・菊池。
~西武の左エース襲名なるか~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS

posted2014/03/27 16:30

昨年の故障の影響で、腕の振りをやや斜めにしたという菊池。開幕2戦目の楽天戦に挑む。

昨年の故障の影響で、腕の振りをやや斜めにしたという菊池。開幕2戦目の楽天戦に挑む。

 ロッテに涌井秀章、巨人に片岡治大をFAで引き抜かれ、抑えのサファテまでソフトバンクに持っていかれた西武にあって、新監督の伊原春樹が岸孝之に次ぐ先発の2番手として期待しているのが、岸と同じ東北出身の菊池雄星だ。

 菊池と言えば、これまで「ひ弱」というイメージが付きまとってきた。素質は素晴らしいのに、相次ぐケガや体力不足で、好パフォーマンスが長続きしない。心理学の本や啓蒙本を読み漁り、「頭でっかち」のあだ名がついたこともあった。

 昨年は4月にプロ初完封勝利を挙げると、あれよあれよという間に8月までに9勝。この勢いで行けば2桁勝利はもちろん、20勝も夢ではないと期待をもたせた矢先に、左肩の炎症で長期離脱した。

「雄星が元気だったら、楽天にはあんなに楽にリーグ優勝をさせなかった」

 そう言って悔しがる西武関係者もいた。

石井一久の助言、楽天の優勝が菊池に刺激を与えた。

 だが昨年の離脱期間中、菊池は変わった。貴重な助言をくれたのが、昨季限りで現役を引退した石井一久だった。同じ左腕で、頭ごなしに物を言うよりも、洒落っ気をつかいながら、仲間のような会話をしてくれた。そして「どこでやるにしても、体力がなければ通じない」と走り込みの意義を説き、時には自ら体力作りに付き合ってくれたのだ。

 その効果が、早速今年のキャンプでみられた。「速球の精度が上がってきたね」と言うと、「ピッチングは真っ直ぐがキチンとコントロール出来るかだと思います」という言葉が返ってきた。これまでは苦しくなるとすぐに変化球に頼っていた菊池が、真っ直ぐにこだわっている。それだけ体力が付いてきたのだろうか。入団5年目にしての大進歩だと感じた。

 昨年の楽天の優勝が、東北出身の菊池にとって何らかの刺激になったことも確かだ。「被災地の人々を励ますには、投げて勝つことが一番だと思うようになった」と言っていた。実際、3月15日の西武ドームでのオープン戦初戦で、オリックスを相手に5回を投げて4安打無失点。試合後も、以前ならば「理想の腕の角度とは」などと言っていたのが、「自分が一番投げやすい位置で投げました」。その吹っ切れた様子に頼もしさすら感じた。

 今季の西武で、涌井の抜けた先発陣の穴を埋めるのは大化けした菊池だ。そう思えてならない。

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