J連覇、ベストイレブン選出でも晴れなかった心。

　なんといっても、一にも二にもコンディションがすこぶるいい。シーズンの序盤とは思えないほどの仕上がりの早さだ。心技体の充実を感じる。

　その背景にあるのは、「悔しさ」だろうか。

　昨年、サンフレッチェ広島はリーグ2連覇を達成した。その中で青山が果たした役割は大きく、2年連続でJリーグのベストイレブンに選ばれてもいる。しかし昨年12月、Jリーグアウォーズで取材した際、彼は心から喜んではいなかった。優勝したというのに、ベストイレブンだというのに、だ。

「自分自身、このシーズン納得できていないんですよ。やった感というのがあんまりなかったし、チームに貢献できたのかと言われれば、そうじゃない気がしているんで。

　優勝したことは嬉しいですよ。でももっと強い広島を見せなきゃいけない。（ベストイレブンに）広島の選手が少ないというのも悔しいし……。僕は向上心があるほうだと思ってるんで、常に満足はしないし、したくはないですね」

天皇杯での涙、そしてスーパーカップでの雪辱。

　悔しさは続いた。

　横浜F・マリノスと戦った元日の天皇杯決勝に敗れたとき、彼は人目もはばからずに涙を流した。リーグ2連覇だろうが、それで良しとしない。天皇杯準優勝だろうが、優勝しなければ意味がない。その責任感が、彼のさらなる向上心をかき立てた。

　今季からは佐藤寿人に代わって、チームのキャプテンに就任した。

　2月、マリノスとの再戦になったゼロックススーパーカップで、サンフレッチェはリベンジを果たした。マリノスの守備を支える中澤佑二は試合後、サンフレッチェに敬意を表してこう述べている。

「連覇しているチームでさえ、こんなに必死になって走っている。ディフェンスを前からしようとする気持ちが見えるし、そういうのを僕らも取り入れていかないと」

　率先して走り、体をぶつけていたのが、誰あろうキャプテンマークを巻いた青山であった。

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