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「名コンビが繰り広げるユウガなステップ」 

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posted2014/03/17 19:30

「名コンビが繰り広げるユウガなステップ」<Number Web>

馬も人間と同じように、それぞれに個性があり、各々に醸し出す雰囲気があります。

シルクホースクラブに在籍し、松田博資厩舎に所属するラストインパクト号は、黒光りする肉体美と端整な顔立ちのハンサムボーイ。
普段は特に手のかからない優等生タイプですが、時折頭を上 下降り、軽くステップを踏んでは自己表現をするところもある4歳のオトコの仔。
その姿はまるでタンゴを華麗に舞う男性アイドルのよう。
そして、そのラストインパクトを日々ケアし、調教に携わっているのが、イケメン野元昭嘉助手。まさに競馬界のイケメンコンビ。
その野元助手は、元ジョッキーであり私の競馬学校時代の 1年先輩。子供の頃から乗馬を嗜んできたとあって、学校時代から馬乗りには定評があり、憧れの先輩の1人でした。

実はこのラストインパクトの2戦目は騎手としてレースに参戦しており、若駒らしからぬしっかりとした体幹と、バランスの良さから、「コイツ絶対に走る。重賞レースを勝てるぐらいの力がある」と公言。
そしてその言葉が現実となったのが、今年の2月、小倉競馬場で行なわれた「小倉大賞典」でした。
鞍上はこれまたハンサムフェイスの川田将雅騎手で、ラストインパクトとコンビを組んで6戦目。この日のラストインパクトは、堂々の1番人気を察してか?いつも以上に燃え気味とあって、本馬場へ向かう最中、ステップを刻んでのタンゴ歩き。そんなジタバタとするラストインパクトの姿に、川田騎手は、(今日はきっとゲートを遅れてでてしまうだろうな?)と予感。すると案の定、ジャンピングスタートとなり、他馬よりも遅い出脚となってスタートが切られることに…。

しかし愛馬の動きを想定していた川田騎手は慌ることなく冷静な対応をし、そして途中からは滑らかなにスピードアップすると、一気に各馬をごぼう抜き。気づけば最後の直線先頭に立ち、そのまま後続馬を突き放しての勝利。その姿は、まるでタンゴのリズムを奏でるように、違和感なく加速してのゴールイン。
まさに圧巻の内容で勝利を手にした愛馬の姿に、「あの時から1年以上が過ぎたけど、重賞を勝てると思った馬で勝てたことは嬉しい。しかも騎手を引退した後、この馬とまた出逢い持ち乗り助手としてコンビを組めるとは、不思議な縁を感じました」と、野元助手。

さぁ1つタイトルを手にしたラストインパクトのこれからですが、騎乗した川田騎手は、
「今後さらに強い相手と戦うわけですから、もっと経験を積んで力もつけてほしい」と語り、
野元助手も、「同世代には、キズナやエピファネイアといった強い馬たちもいるし、1戦級の古馬とも戦っていかなくてはならない」と、さらなる試練の始まりに気持ちを引き締めていました。
また経験値という点においては、野元助手も同じで、馬に乗る騎手という立場から、競走馬へと作り上げていく持ち乗り助手となって2年目。乗る技術は卓越したものがある一方で、体調面や食事の面、ツメのことなどに関しては未知なことばかり。
しかし周囲を見渡せば、両サイドもそのまた横隣も、G1馬を育 ててあげてきた名手ばかりとあって、「分からないことは何でも教えてもらっています」と、学ぶには最高の環境下。

さぁ、今年の最大目標は、3200mの長距離戦・天皇賞。
淀の舞台で水色と赤い丸模様の勝負服を背に、ラストインパクトが燃え上がるのようなタンゴを披露してくれることでしょう。
皆さま、是非とも注目を。ホソジュンでしたぁ。

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プロフィール
細江純子(ほそえじゅんこ)
昭和50年愛知県生まれ39歳。
1996年競馬学校12期生として、騎手デビュー。同期には和田竜二、福永祐一、柴田大知騎手など。
2000年に日本人女性騎手として初の海外勝利。2001年騎手を引退。
現在はホースコラボレーターとして、フジテレビ「みんなのKEIBA」に出演。
日本軽種馬協会、UMJINなどで執筆中。
短編小説「ストレイチャイルド」「ホソジュンのステッキなお話」を出版。

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