SCORE CARDBACK NUMBER

F1復帰の可夢偉も登場。
初テストは“走る実験室”。
~複合システムを巡る試行錯誤~ 

text by

今宮純

今宮純Jun Imamiya

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2014/02/22 08:10

F1復帰の可夢偉も登場。初テストは“走る実験室”。~複合システムを巡る試行錯誤~<Number Web> photograph by Getty Images

ケータハムCT05で初走行に挑む小林。ルノーエンジンの不調もあったが54周を走り終えた。

 今季初の合同テストにロータスを除く10チームが参加し、1月28日から4日間、スペインのへレス・サーキットを走りこんだ。'14年新規定に基づき一新された1600ccV6パワーユニットは“複合システム”と言える。従来のエンジンにMGU-K(運動エネルギー回生)、MGU-H(熱エネルギー回生)、エネルギー貯蔵バッテリー、ターボチャージャー、コントロール・エレクトロニクスを加え、これらを完全に機能させて、想定750馬力以上を発揮する。とても複雑で、もはや単純にエンジンとは言えず、既存3メーカーはそう表現しない。究極のエネルギー効率を競うべく、1レース使用燃料量は3割減とされる。

 懐かしい表現を借りれば最初のテストは『走る実験室』の様相を呈した。初日は9チームがピットにニューマシンを持ち込んだが、全車走行周回数は93周。マクラーレンは1ミリも動かず、レッドブルは低速で3周。フェラーリのK・ライコネンが31周の最長ランに成功した。昨年の初テストで全車合計が657周だったのに比べ、驚くべき事態となった。

可夢偉はトラブル多発も“試験パイロット役”を果たす。

 F1がターボ全盛期から、'89年にターボ禁止へと変化した時代のオフ・テストはまさに“実験場”だった。暖機運転中に壊れ、コース上で出火し、破損部品が散乱した。開幕までにチームは不眠不休で開発に従事しなければならなかった。

 歴史は繰り返す。ニューマシンはファクトリーで2年以上かけてシミュレーション開発されてきたが、この4日間にレース距離連続走行が可能だったのはメルセデスとフェラーリくらい。レッドブルは最低の21周で早々に切り上げた。

 全力走行までに至っていないが、タイム1位は新人K・マグヌッセン(マクラーレン)、2位F・マッサ(ウイリアムズ)、3位L・ハミルトン(メルセデス)、4位J・バトン(マクラーレン)、5位ライコネン。走行距離1位はメルセデス1368km、2位フェラーリ1111km、3位マクラーレン1084km。

 最終日にはケータハムで2年ぶりF1復帰の小林可夢偉が登場し、ウェット路面で一時6位タイムを記録。トラブルが多発し54周で終えたものの“試験パイロット役”を果たした。昨年最下位だったチームの救世主となるか。混沌とした'14年の復帰を好機ととらえたい。

関連コラム

関連キーワード
小林可夢偉
ケータハムF1チーム

ページトップ