オリンピックPRESSBACK NUMBER

史上初の外国人監督が1年で交代!
男子バレー、これは可能性か混迷か。 

text by

米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

PROFILE

photograph byNoriko Yonemushi

posted2014/02/14 10:50

史上初の外国人監督が1年で交代!男子バレー、これは可能性か混迷か。<Number Web> photograph by Noriko Yonemushi

アジア選手権で7度優勝し、ミュンヘン五輪で金メダルを獲得した栄光も今は昔、日本男子バレーは低迷を続けている。南部正司新監督はこの苦境にどう挑むのか。

1年前に掲げた理想は、画期的な一歩だった。

 何より、日本バレーボール協会として、1年前に掲げた理想は一体どこへ行ったのか。

 昨年2月、当時の日本協会の中野泰三郎会長はサトウ監督の内定記者会見で、外国人監督に舵を切った理由をこう語っていた。

「ミュンヘンの金メダル以来40年間も五輪のメダルから遠ざかり、低迷している中、今までの延長線上でやっていては流れを変えることは難しい。ですから、日本を客観的に外から見ていた方に、日本人にはできないドラスティックなことをやってもらいたい」

 それは過去の栄光にとらわれていた日本バレー界の画期的な一歩に映った。しかしわずか1年で方針転換。後退という感は否めない。

 確かに、サトウ監督は過去に監督経験がほとんどなく、チームの導き方や采配の面で期待された力を発揮できなかった。また、世界のスタンダードを取り入れようと、フォームや動きの改造に取り組んだが、昨年中に手応えを得られた選手はわずかだった。戸惑いのまま1年目を終え、所属チームでは元のやり方に戻してしまったという選手もいて、完成までに何年かかるのか、先が見えない状態だったのも事実だ。

 サトウ監督としては、昨年はリオ五輪へのベース作りの年だと捉えていたから、フォーム作りから始めたのだろう。世界選手権の切符は死守するなど、ある程度のハードルが念頭にあった日本協会とは、認識にズレがあったのではないだろうか。

 昨年は結果だけでなく負け方も悪く、監督交代はやむを得ない面もある。しかし、サトウ監督だけが外国人監督ではないし、アメリカのバレーだけが世界のバレーではない。そもそも、日本と融合する相手として、アメリカバレーがふさわしいのかどうか検証した上で、サトウ監督を招聘したのだろうか。日本協会の準備も覚悟も足りなかったということだろう。

海外の指導者候補は国内だけでも複数いるが……。

 世界から遅れを取っている日本が学ぶべき海外の指導者はいくらでもいる。練習のやり方一つをとっても、監督によってさまざまだ。

 外国人監督の練習は短時間集中型だという先入観があるが、例えばサントリーのパオロ・モンタニャーニ監督や、今季から豊田合成の指揮を執り、チームを躍進させているクリスティアンソン・アンデッシュ監督は、日本人監督以上に練習の質も量も多く、選手を驚かせた。彼らは選手の技術やフィジカルを伸ばす方法や、練習メニューの引き出しが豊富で、1年目からチームにフィットし、特に日本に足りなかったブロックとディグのシステム作りで成果を挙げている。

 そんな姿を見ていると、世界での戦い方を知っていて、なおかつ日本のバレーにフィットし、引き上げてくれる監督を探すことは、難しいことではないように思えるのだが。

【次ページ】 会長はサトウ監督続投支持を公言していた!

BACK 1 2 3 4 NEXT
ゲーリー・サトウ
南部正司
リオデジャネイロ五輪
オリンピック・パラリンピック

バレーボールの前後の記事

ページトップ