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巨人“二塁手戦争”は、大穴が来る!?
片岡、井端に挑む寺内崇幸の武器。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byNaoya Sanuki

posted2014/02/09 08:15

巨人“二塁手戦争”は、大穴が来る!?片岡、井端に挑む寺内崇幸の武器。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

昨季、自身最多の114試合に出場した寺内。安定した守備には定評があるが、打率.225に終わった打撃面が課題になる。

片岡と井端の“マッチレース”に加わるのは。

 今季の巨人には、FAで加入してきた片岡が入るのが基本構想となる。

「ただ片岡と言えども、“ハイ、どうぞ!”と座布団を敷いてポジションを与えるわけじゃない」

 原監督は言う。

「競争を勝ち抜いて自分の手でポジションを取るのがウチのチームの原則。そういう意味では他の選手にもチャンスは十分にある」

 いま、担当記者の間ではこんな予想が流れている。

「開幕は片岡だが、西武でもここ2年、故障でシーズンを通してプレーできないのが不安点。ひょっとしたら8月ぐらいには井端がセカンドを守って、結局最後のポストシーズン、日本シリーズではレギュラーを奪ってしまうのではないか」

 いずれにしろ移籍の片岡と井端のマッチレースというのが大方の予想なのだが、ここでもう一人、生え抜きの寺内崇幸内野手を“推す”のが川相昌弘ヘッドコーチなのだ。

「だれがポジションを取るかは競争。実力で奪うしかない」

 こう断った上で川相コーチは、寺内買いの理由をこう説明する。

「その中で個人的に頑張ってもらいたいと思うのは寺内ですね。昨年、ああやって地道に努力して、結果を積み上げることで日本シリーズでもセカンドを任されるまでになった。もちろんまだまだ物足りない部分は大いにある。ライバルも強力です。でも、分からないですよ。地道にやってきたものが最後は強いですから。そういう意味では寺内にも十分にチャンスがあると思います」

思い出す16年前のキャンプでの川相の行動。

 実は川相コーチ自身は現役時代、いまの寺内と似たような境遇だったときがあるのだ。

 1988年の巨人キャンプでは、ショート戦争と言われた激しいポジション争いが展開された。候補となっていたのは岡崎郁(現2軍監督)と勝呂尋統(現内野守備走塁コーチ)に川相の3人だった。

 本命は打の岡崎、対抗が総合力の勝呂、大穴が守備の川相――大方の予想はそんなものだった。

 そして鮮明に覚えているのが、グアムキャンプでの川相のある行動だ。

【次ページ】 川相が寺内に求めているものは何か。

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