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MLBと日本で異なるキャンプ事情。
「招待選手」という一挙三得制度。 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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posted2014/02/04 10:40

MLBと日本で異なるキャンプ事情。「招待選手」という一挙三得制度。<Number Web> photograph by Getty Images

昨年の8月にメッツに移籍した松坂大輔投手。3勝3敗、防御率4.42と勝ち星こそ先行しなかったが、復活の足かがりとなる好投を見せた。今季、メッツとマイナー契約を結び、再び開幕メジャーを目指す。

 メッツが1月24日、松坂大輔投手とのマイナー契約を発表した。

 昨シーズン終了後から、メッツ首脳陣が松坂との再契約に意欲的な発言をしていたので、もっと早くに合意するものと踏んでいた。だから、意外にも手間取ったうえに、マイナー契約だったことに少々驚いている。

 松坂は昨年8月にメッツに電撃移籍を果たし、最終3試合の先発で素晴らしい内容の投球を披露している。

 しかも、現在のメッツの投手事情には不安要素が多い。

 若きエースのマット・ハービー投手が右ヒジ腱移植手術のため今季絶望。ベテランのバートロ・コロン投手を獲得したものの、残りの先発候補は経験不足という状況だ。

 こういったことを考慮すれば、十分にメジャー契約も期待できると見ていたのだが……。やはり、一度失った信頼を回復するのは簡単ではないようだ。

今季も招待選手として、開幕メジャーを目指す日本人選手たち。

 だがマイナー契約とはいえ、“招待選手”としてメジャー・キャンプに参加できる。もちろんオープン戦の投球内容次第では、開幕メジャー入りも十分に狙える状況にある。

 今年は松坂ばかりでなく、カブスに移籍した和田毅投手、ヤンキースの建山義紀投手、レンジャーズの田中賢介選手、ブルージェイズの大家友和投手、川崎宗則選手らが同じ招待選手としてメジャー・キャンプに参加し、開幕メジャー入りを争うことになる。

 今年に限らず、これまでもかなりの日本人選手たちが招待選手の立場でメジャー入りを目指しており、すでに日本でも招待選手というシステムはかなり浸透しているだろう。

 元々メジャー・キャンプに参加できる資格を有する選手は、各チームの40人枠に入っていなければならない。この40人枠に入らない限り、シーズン中といえどもメジャーに昇格することはできない(もちろんシーズン中の入れ替えは原則自由だ)。

 つまり、メジャー・キャンプは、40人枠に入った選手たちがシーズン開幕を迎える選手登録枠の25人を争う場である。これだけでも熾烈な生存競争の場であるのに、どうして各チームは招待選手を加える必要があるのだろうか。

【次ページ】 メジャーのキャンプが抱える、特有の事情とは。

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