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番狂わせの連鎖を生んだ、
女王の敗退と挑戦者の自信。
~波乱の全豪、混沌とする勢力図~ 

text by

秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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photograph byHiromasa Mano

posted2014/01/31 06:15

番狂わせの連鎖を生んだ、女王の敗退と挑戦者の自信。~波乱の全豪、混沌とする勢力図~<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

セリーナを破ったイバノビッチ。準々決勝で敗れ、2度目の四大大会優勝は叶わなかった。

 全豪オープン女子は第1シードのセリーナ・ウィリアムズと第3シードのマリア・シャラポワがともに4回戦で敗退する波乱の大会となった。アナ・イバノビッチに逆転負けを喫したセリーナは「すさまじい数のミスをしてしまったわ。こんなの(10歳にもならない子供だった)'80年代以来かしら」と自嘲気味に話した。背中のケガの影響もあったのか、プレーは精彩を欠いた。昨シーズン、11大会に優勝、78勝4敗、95%の勝率を残した女王の敗退は衝撃的だった。

 こういう大番狂わせがあると、大会全体がざわついたようになり、何が起きてもおかしくない雰囲気になる。番狂わせは伝染する、とも言われる。セリーナ敗退の翌日に起きたシャラポワの敗退を伝染のひと言で片づけるのは乱暴だが、女王撃破に刺激を受け、選手のモチベーションに火がつくことは十分ありうる。

 イバノビッチはこれまでセリーナに全敗、セットさえ奪ったことがなかった。会見で過去の対戦との違いを聞かれたイバノビッチは「信じていたことね。今日は自信があったの」と話した。

上位陣の総崩れは全豪にとどまらない可能性もある。

 シャラポワを破ったドミニカ・チブルコバも似たようなことを話しているのが興味深い。

「自信が最も大切。コートに入るときは自分が彼女を倒せると100%以上信じていた。100%の力が出し切れるように準備ができていたわ」

 テニスはメンタルゲームだと言われる。特に女子は自信の有無が結果を大きく左右する。揺らぎがちなハートを支えるのは練習の裏付けであり、コーチや家族の存在だが、ほかの選手の手柄さえ「次は私の番」と自分の心の支えに替えようとするのが選手心理だろう。

 上位陣の総崩れは全豪にとどまらない可能性もある。セリーナも難攻不落ではない、私もやれるというムードが充満すれば、実力が接近しているツアーの勢力図はさらに混沌としたものになるだろう。

 ただ、言うまでもなく、上位に食い込むには本当の実力が問われる。全豪ではウージニー・ブシャール、シモナ・ハレプといった期待の若手が、いずれも元世界ランキング1位の選手を破る活躍を見せた。これも連鎖の一環なのか、それとも彼女たちの実力が本物なのか。両者の今季を見守りたい。

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