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過密日程に苦しむ本田、カップ戦敗退。
ミランが10番に頼らざるをえない理由。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2014/01/23 12:50

過密日程に苦しむ本田、カップ戦敗退。ミランが10番に頼らざるをえない理由。<Number Web> photograph by Getty Images

カカは「ベローナ戦ではうまく機能していたのに、今日の試合ではそれが無かった」と試合後に発言。疲労を考慮すると仕方が無かったとはいえ、本田がスタメンで出場していれば……。

 終戦を告げたのは、95分の本田圭佑のシュートだった。

 22日のコッパイタリア準々決勝で、ミランはウディネーゼに1-2の逆転負けを喫した。

 ミランは'03年以来途絶えている国内カップ戦タイトルの奪還に失敗したばかりか、大会からの敗退によって来季の欧州カップ戦出場への大きなチャンスを失った。

「奇跡とやらは、そうそう起きない」

 苦悩を深めるセードルフ監督の言葉を本田はどう受け止めたのだろうか。

 ミランはいまだ迷走の最中だ。

 優勝チームへ来季のEL(UEFAヨーロッパリーグ)出場権が与えられるコッパイタリアは、リーグで低迷に喘ぐミランにとって、今季の最重要目標になっていた。ウディネーゼを下せば、残る準決勝2試合と決勝戦、わずか3試合に勝つだけでタイトルとEL出場権が手に入るはずだった。

 セードルフ監督はもちろん勝つ気マンマンで、MFカカやFWバロテッリらによるほぼフルメンバーをグラウンドに送り出した。

バロテッリの先制点でミランは勝利を手にしかけたが……。

 残留争いに苦しむ相手の与し易さも考慮して「今回は休養」という見方が強かった本田はベンチに座っていた。目先の一勝も大事だが、彼にとってまずは90分間走れるコンディションを取り戻すことが先決だ。

 セードルフ監督は、初采配だった日曜のベローナ戦同様、新布陣4-2-3-1で臨んだ。

 本田の代わりにはMFビルサを入れ、MFカカとFWロビーニョとを組ませた2列目に1トップのFWバロテッリを合わせたカルテットの動きには、攻撃センスにあふれた新監督の指導の跡が見て取れた。

 前半6分に、ビルサのクロスをロビーニョがスルーし、バロテッリが右足で蹴りこんだ。先制点を得たことで、ミランは準決勝へ大きく近づいた。

 ところが、最前線のエースFWから最後方の守護神まで、ミランにはとにかくキックミスが目立っていた。2枚で守ることに慣れていない中盤の集中力も徐々に途切れ、何度も自陣でピンチを迎えた。

【次ページ】 逆転を喫し、希望は過密日程の10番に託された。

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