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長尺パターは「アートじゃない」?
ルール変更に惑う者、備える者。 

text by

桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2014/01/22 10:45

長尺パターは「アートじゃない」?ルール変更に惑う者、備える者。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

長尺パターを愛用している吉田弓美子。長尺パターをグリーン上で見られるのも、あと2年だ。

 大多数のプロゴルファーにとって、冬は充電の季節。

 春からのシーズンインに備えて疲弊した体を癒し、せっせと技を磨く。中でも今オフは、特別な覚悟を持って迎えたプレーヤーが多くいる。長尺パター、中尺パターのアンカーリング規制に関する問題に直面し、本格的なトレーニングに取り組み始めた選手たちだ。

 2016年1月から、長尺パター使用が禁止となることが世界的に正式決定したのが昨年5月。改めて確認すると、この規制は通常のタイプよりも長いパター自体が禁止されるわけではない。アンカーリングという、打ち方そのものが問題となる。

 パターのシャフトの一部を体に密着させ、グリップ以外に支点を作り、船の錨(いかり=アンカー)を揺らすように打つから、アンカーリング。

 長尺パター使用者に多いのが、グリップエンドの近くを握った左手を胸の中央に密着させるスタイル。中尺なら、グリップエンド自体を、みぞおちあたりにくっつけるパッティングフォームが主流だ。

腰痛対策、そしてスイングの安定性が長尺のメリット。

 日本でこの打ち方をするのは、男子プロでは中嶋常幸や尾崎直道らシニアプレーヤーが多い。加齢に伴う腰痛対策や、リズムよくスイングすることでストロークの安定性を求められるのが、長いパターを使うメリットだ。レギュラーツアーでも横田真一や兼本貴司といったベテラン選手が長尺を使用している。

 しかし女子プロにおいては、脂の乗り始めた20代の選手にも、この新ルールに直面しているプレーヤーがいる。

 昨年、国内女子ツアーのミーティング委員長(男子ツアーでいう選手会長)も務めた吉田弓美子は現在26歳。彼女が長尺パターを手にしたのはプロテスト合格から丸1年が経った2010年8月だった。もともとパットを苦手としていたこと、そして「研修生時代にぎっくり腰をやって、体に負担をかけたくなかった」のが始まりだった。

「クラブが長い分、早打ちができないから、パットのリズムが一定になる」という利点を生かし、2012年にツアー初優勝。トッププロへの道を歩み始めた。

【次ページ】 「短いパターだといろいろ考えてしまいますね」

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