SCORE CARDBACK NUMBER

投手王国復活を担う左腕、
中村恭平の大化けに期待。
~カープ先発陣の一角を掴め~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS

posted2014/01/20 06:10

立正大淞南高、富士大を経て2011年にドラフト2位で入団。最速153kmの直球が持ち味だ。

立正大淞南高、富士大を経て2011年にドラフト2位で入団。最速153kmの直球が持ち味だ。

「最後まで競り合ってAクラス入りを果たした時から、選手は悔しさを知って、ワシの言うことに真剣に耳を傾けるようになった」

 '91年、最後の最後でAクラスに転がり込んだヤクルト監督、野村克也は言った。

 昨年の広島の戦いぶりを見ていて、当時のことを思い浮かべた。クライマックスシリーズ(CS)に進出できるAクラスに入れば、チームの勢いがガラリと変わると。案の定、Aクラス入りした広島は阪神を破ってファイナルステージに進出し、巨人と対戦。だが巨人は強かった。流れを渡さず、3連勝で押し切っている。

 広島でCSに先発登板したのは、前田健太、バリントン、大竹寛、野村祐輔の4人だけ。2桁勝利を挙げたのはこの4人だから当然だが、来季はここからFAで大竹が抜ける。ただでさえ手薄な投手陣だから、若手が育たなければAクラス入りも危ない、という声も上がっている。

 もちろん昨年も手をこまねいていたわけではなかった。久本祐一を5番手で使いながら、3年目の中崎翔太、中村恭平にチャンスを与えてきた。しかし中崎、中村はともに11試合に先発しながら、中崎が2勝7敗、中村は1勝5敗に終わっている。CSでの登板は、無論なかった。

大竹が抜けた先発ローテの座を得るために必要な“間”。

「プロに入った以上、投げたかった。CSは自分には無関係だと思っていましたが、それが現実になったから余計です」

“眠れる大器”中村は当時の心境を語る。

 中村は昨年4月28日の中日戦、7回無失点で初勝利を挙げるも、残りのシーズンは良いところまで力投しながら降板、というケースがほとんどだった。理由は肝心なところでの“一発病”。打者の内角をえぐるストレートが武器だが、あと一歩の場面で巨人の阿部慎之助、阪神の福留孝介らに痛い一発を浴び、勝ちを逃した。「抑えたい」という気持ちが腕の振りを小さくしたのだろう。

 だが、来季は先発ローテの座が確実に一つ減る。ドラフト1位で日本代表でもある大瀬良大地が加入したとしても、左腕がいない。中村にチャンスはあるのだ。

 巨人の内海哲也、日ハムの吉川光夫の例を見るまでもなく、球に力のある左腕の場合、投げる“間”を自分のものにすれば、大変身の可能性はある。

 大竹が抜けた今年、広島の躍進を担うキーマンは、この男だろう。

関連コラム

ページトップ