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海外遠征熱を冷ます、
JRAの大きな方針転換。
~国内競走重視に潜む問題点~ 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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photograph byKYODO

posted2014/01/11 08:10

海外遠征熱を冷ます、JRAの大きな方針転換。~国内競走重視に潜む問題点~<Number Web> photograph by KYODO

 JRAの経営委員会が'14年度の事業計画を承認し、HP等で発表した。

 日本の競馬の賞金は一貫して内税方式で、初めて消費税が導入されたときも特にその分の調整はされてこなかった。しかし今回は下級条件戦などで若干の賞金増。4月から始まる税率アップに配慮したものであろうと受け止められている。景気は上向いていると言われていても、馬主資格取得者は漸減傾向にブレーキがかかっていない。少しでも待遇をよくして富裕層の競馬への参加を促したいと考えるのは当然だろう。このあたりは、財界人を中心に構成されている経営委員会ならではの意思表示と受け止めたい。

 一方、これでいいのか? と驚く方針転換もある。国際招待競走が名ばかりとなっていたジャパンカップ・ダートが実質的に廃止となり、さらには外国の競走に出走する馬に対する補助金、褒賞金交付の廃止も併せて発表されたのだ。

 かつてタイキシャトルがフランスでジャック・ル・マロワ賞を勝ったとき('98年)に、実際に獲得した賞金の7倍にも相当する約1億6800万円もの褒賞金が支給されたのも今は昔。その規模は徐々に引き下げられていたが、ついに廃止の決定。つまり、これまでの海外挑戦を積極的に促す施策から、国内の競走の充実に舵を切ったというわけだ。

褒賞金以上に、最大1000万円の補助金廃止が大きい。

 わからなくはない。自らの組織で育ったスターホースが馬券の売り上げにつながらない海外に遠征してしまい、売れてほしい主催レースが空洞化しているというのに、心では泣きながら補助金や褒賞金を払い続けてきたのだから。決定的とも言える事例が今回のロードカナロアの香港スプリント連覇。箔をつけてJRAのレースを盛り上げてくれるならまだしも、勝って引退というのだから本心では褒賞金など出したくなかったに違いない。財界人ならそう考えて当然だと思う。

 とはいうものの、この決定で遠征熱は間違いなく冷める。褒賞金よりも補助金(GI勝ち馬なら、最大で1000万円の経費が出た)の廃止は大きく、40口から500口のファンドで構成されているクラブ法人の馬(オルフェーヴルもロードカナロアもそう)なら、出資者全員の賛成を得るのは特に難しくなるからだ。

 売り上げ重視の内向きの施策がファンに誤って伝わらないか、不安ではある。

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