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縮小均衡ではなく、拡大均衡を!
ヴィッセル・J最年少社長の野望。 

text by

並木裕太

並木裕太Yuta Namiki

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photograph byKyozo Hibino

posted2014/01/07 16:30

縮小均衡ではなく、拡大均衡を!ヴィッセル・J最年少社長の野望。<Number Web> photograph by Kyozo Hibino

清水克洋社長は、マッキンゼーからヴィッセル神戸に入社した変り種。中学・高校とサッカーをしてきた元サッカー小僧でもある。

縮小均衡ではなく、拡大均衡を目指すために。

 もし私がクラブの経営者だったら、きっと次のような思考をするでしょう。

「経営基盤の強化は良いことだ」→「ただ基準の達成には新たなコストがかかる」→「『競技』基準にも入っている、若い世代の育成コストは減らしたくない」→「ならばスポンサーやチケット収入を伸ばそう」→「でもそんなに簡単に収入は伸びないぞ」→「やはり補強費を減らすしかないのか……」

 もちろん、実際のクラブの経営者はもっと複雑な意思決定をしていますし、そう簡単に縮小均衡モードにはならないでしょうが、(1)日本代表クラスの選手がプレーしやすい環境をつくり、(2)一線級の外国人選手がワールドクラスのプレーを見せ、(3)アジアのサッカーファンが目を向けるリーグであり続ける――こうしたJリーグの大きな目標に対して、クラブライセンス制度が足かせになってしまわないようにと切に願っています。Jリーグには、「世界基準」を意識するあまり、小さくまとまってほしくないのです。

 ヴィッセル神戸はこのオフ、J通算135ゴールのマルキーニョス、昨年のKリーグで得点王を争ったペドロ・ジュニオールを獲得、さらには元ブラジル代表のシンプリシオの獲得が噂されるなど、まさにその心配を吹き飛ばすような補強を行なっています。クラブライセンス制度導入後のJリーグという視点からも、ヴィッセル神戸の今年のJ1での飛躍を期待したいと思います。

(構成:日比野恭三)

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