SCORE CARDBACK NUMBER

強烈な重圧を超えてつかんだ、
女子カーリングの五輪切符。
~最終予選を突破した渾身の一投~ 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

PROFILE

photograph byItaru Chiba

posted2013/12/27 06:00

五輪出場が決定し喜ぶフォルティウスの5人。右から、苫米地、小野寺、小笠原、船山、吉田。

五輪出場が決定し喜ぶフォルティウスの5人。右から、苫米地、小野寺、小笠原、船山、吉田。

 試合が終わった瞬間、崩れるようにしゃがみこんだ。その姿に、背負っていたものの大きさがうかがえるようだった。

 12月10日から15日までドイツ・フュッセンで行なわれていたカーリングのソチ五輪世界最終予選の女子で、北海道銀行フォルティウスが見事、出場権を獲得した。

 フォルティウスは1次リーグでは最後の中国に敗れたものの、5勝1敗で2位となり、上位3チームによる決定戦へと進んだ。1位の中国と対戦したが再び敗れ、3位のノルウェー戦に臨むことになった。中国がまず切符を手にし、残り1枠をかけての争いである。スキップ小笠原歩にかかるプレッシャーは大きかっただろう。だがそれだけではなかった。

 今年の9月、フォルティウスは中部電力との日本代表決定戦に勝利し、最終予選の日本代表となった。

「代表を勝ち取った時点で、すごいものを背負いこみました。私の一投一投が、日本のカーリング界を担うと思い、3カ月の間苦しかったです」

出場決定の瞬間、小笠原はようやく重圧から解放された。

 五輪種目となった長野大会以来、日本女子は4大会すべて出場してきた。だが、近年は中国や韓国に押され、世界選手権出場を果たせないこともあり、ソチ五輪出場を危ぶむ声もあった。そんな中で、日本の歴史にも思いを寄せていただろう。その重圧がのしかかっていた。

 チームの中心であることも自覚していた。チームを強くしたい、勝ちたいという一心から、チームメイトにも厳しい姿勢を貫いた。むろん自身に対しても厳しくはあったが、引っ張る立場だからこそ責任を感じていた。

 ノルウェーが第9エンドに握手を求め、勝利が決まった瞬間、小笠原はしゃがみこんだ。その姿には、抱えていた重圧の大きさと、そこからの解放が表れていた。そして重圧の中で五輪切符をつかんだのは、小笠原、いや小笠原ばかりではない、選手たちの努力の日々あればこそだった。

 小笠原と船山弓枝は'06年のトリノ以来8年ぶりの五輪出場を勝ち取り、小野寺佳歩、苫米地美智子、吉田知那美は初めてのオリンピックへ歩を進める。

 9月の日本代表決定戦、そして今回と、壁を乗り越えてきたチームだ。大舞台で、さらに成長した姿を楽しみにしたい。

関連コラム

ページトップ