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MLBとの交渉で露呈した球界の体質。
NPBと選手会の協力構築が最優先だ。 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byNaoya Sanuki

posted2013/12/22 08:01

MLBとの交渉で露呈した球界の体質。NPBと選手会の協力構築が最優先だ。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

移籍問題の渦中にいる田中と、選手会長の嶋。互いのことを誰よりも考えた結果が、MLBの怒りを買ってしまうとは、なんとも皮肉な結果となってしまった……。

 紆余曲折を経て、米国時間の12月16日(日本時間同17日)にMLBとNPBの間で新ポスティングシステム合意を正式に発表。有効期限3年で同日から発効された。

 同制度の発効を待ち侘びたように、早速注目の楽天・田中将大投手が会見を開き、来シーズンのメジャー挑戦を表明し、再び日米のメディアが騒ぎ始めた。

 メジャーのFA市場では先発投手がかなり不作だと言われているだけに、田中の獲得競争は熾烈を極めており、楽天の最終決断を含め当分は過熱報道が続くことになるだろう。

移籍金の上限が決まった分、年俸は高騰確実。

 今回、田中獲得に積極的に動いているといわれる某人気球団の関係者の話では、新ポスティングシステムが合意する前から田中を獲得するための予算を確保しており、入札金額に関わらず予算すべてを獲得に回す準備ができていたようだ。

 つまり新ポスティングシステムでは譲渡金(新制度ではNPB球団に支払われる額をMLB球団が入札するのではなく、事前にNPB球団が設定した額に対して入札を行なうため、日本ではその名称を「入札金」から「譲渡金」と表現を変更した)の上限が2000万ドルに設定されたため、残りの予算はすべて田中の年俸に回し交渉できることになるわけだ。

 たぶんこの球団に限らず、田中に興味がある資金力豊富な球団はいずれも田中獲得用に多額の予算を計上しているはずで、すでに各メディアが報じているように田中の年俸高騰は必至の状態だ。普通にいけば、間違いなくメジャー1年目の選手としては日本人選手として最高額の契約を得ることになるだろう。

 新ポスティングシステムが発効され、田中のメジャー挑戦への道筋が整ったかのように見えるが、筆者は果たしてこのままでいいのだろうかと感じている。

 特に、今回の新制度に至るまでの一連の騒動におけるNPB選手会の行動には、疑問を感じざるを得なかったからだ。

【次ページ】 結果的に、選手会の希望は通ったのだろうか。

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