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話題の映画が描く、
若き海外移籍の暗闇。
~“サッカー難民”になった少年~ 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

PROFILE

photograph byDaisuke Nakashima

posted2013/12/19 06:00

映画はスペイン各地で公開中。「リアリティがある」「時に残酷なほど」などの感想が。

映画はスペイン各地で公開中。「リアリティがある」「時に残酷なほど」などの感想が。

 スペインサッカー界で一本の映画が注目を浴びている。

 今冬、スペインで公開された『Diamantes negros(黒いダイヤモンド)』は、アフリカのサッカー少年の海外移籍の暗部に迫ったドラマだ。

 クラブや代理人にとっては都合の悪い現実を切り取った内容が評価され、サッカー関係者やメディアの間で話題になっただけでなく、マラガ映画祭では観客賞も受賞している。

 内容はシリアスだ。マリの少年アマドゥとムッサに才能を見たスペインのクラブのスカウトは、彼らと契約しマドリードへ連れていく。少年たちは貧困から逃れたかに見えたが、差別、年齢詐称の強要、悪徳代理人など、様々な問題に引き込まれていく、というもの。

 スペインではサッカーをテーマにした映画の場合、主人公の成功物語といった分かりやすいテーマの方が大衆受けはいいが、同作品のプロデューサー、カルロ・ドゥルシ氏はあえてそうしなかった。

成功できず欧州に残されたアフリカ人は2万人に上る。

「この国では儲けようと思えば、違う内容の映画を作らなければならない。私たちはサッカー少年の海外移籍問題に一石を投じて、関係機関に改善を訴えたかった」

 同作品はスペイン、ポルトガルの共同制作だが、両国ともこの種の問題を抱えている。多くのクラブはアフリカや南米から才能のある少年を“輸入”しているが、それら10代前半の少年たちのすべてが大成するわけではない。16歳でレアル・マドリーと契約し、後に大成功したサミュエル・エトーのケースなどは例外で、ソーシャルプラットフォームの『Change.org』によると、サッカー選手として成功できずに欧州に残されているアフリカ人の数は現在2万人に上るという。その後のサポート体制は十分に整ってはおらず、困難な状況に立たされている元有望株は多い。

 これらサッカー少年の多くはアフリカや南米出身だが、もはや日本人も例外ではない。若くしてスペインへ渡る日本人少年は増えており、先日はバルセロナの久保建英が所属するカテゴリーのリーグ戦でも「日本人対決」が行なわれたほどだ。

 スペインは不況の真っ只中で、失業率は26%を超えている。もし成功しなかった場合にどうするのか――。FIFAや各国のサッカー協会、クラブは一刻も早くサポート体制を整えるべきだろう。

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