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「英雄ディープインパクトを降した男」ハーツクライ産駒の未来~ユニオンオーナーズクラブ所属先行募集馬2~ 

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posted2013/12/11 18:30

「英雄ディープインパクトを降した男」ハーツクライ産駒の未来~ユニオンオーナーズクラブ所属先行募集馬2~<Number Web>

国内で唯一『ディープインパクトに勝った馬』といえばハーツクライ。2005年、有馬記念の出来事でした。
「無敗で3冠馬になったディープが負けてしまった」という衝撃と動揺は凄まじいもので、ハーツの大金星は、冬枯れの芝の上に取り残されたように思えるほど、時のヒール役になってしまいました。

そんなこともあってか、「英雄を降した男」の運命は、種牡馬になってからも比較されることが多く、以前、ハーツクライの取材で社台スタリオンを訪れた時、「闘いはまだ続いている。ディープ産駒には負けたくない」という担当者の思いに、背筋が引き締まったものです。

ハーツクライの競走成績は19戦5勝。3歳で新馬戦を制した後、きさらぎ賞3着を経て臨んだ若葉Sで優勝。5月の京都新聞杯で重賞初制覇を飾り、その後の日本ダービーでは、キングカメハメハの2着と健闘しました。
4歳になってからは、ジャパンカップでアルカセットの世界レコード同タイムの2着となり、暮れの有馬記念では、先行抜け出しの戦法が功を奏し、ディープインパクトの猛追を許さず快勝。翌年3月にはドバイシーマクラシックを優勝するなど、海外のG1レースでも活躍しています。

今年行われた天皇賞・秋で、1番人気のジェンティルドンナ(父ディープインパクト)に勝ったのは、5番人気のハーツクライ産駒ジャスタウエイでした。この時も、「ディープの仔に勝つのはハーツの仔」と賞賛され、血の歴史が再来した結果になりました。

ユニオンオーナーズクラブからは、先行募集馬2(牡馬・2013年3月9日生まれ。猿倉牧場生産。黒鹿毛。関西入厩予定)が、前述したハーツクライ産駒として紹介されています。

母はスコアズビー(父ロックオブジブラルタル)。母系は華やかで、曾祖母シルバーレーンからは、スプリンターズステークスや安田記念を勝ったブラックホークやNHKマイルカップを勝ったピンクカメオといったG1ホースをはじめ、活躍馬が多数輩出されています。この強力な枝葉は、本馬に勢いをつけ、存在感を増していますね。
活躍馬の特徴としては、優れたスピードの持ち主であることが特筆され、血統や馬体から、芝のマイルから中距離で、切れ味を武器にした瞬発力を発揮してくれるのではないでしょうか。
先行馬2は手脚が長く、美しいラインを形成した薄手の馬体をしており、父ハーツクライの良さがしっかりと現れています。
歩様は非常に軽く、柔らかみとバネを感じ、気性も負けず嫌いで勝負根性も備わっているという本馬。父の産駒には長距離を走る際の強さがあり、地力の高さを示していることから、ハーツクライの母父トニービンの長所も含め、古馬になってからも粘り強い活躍も期待できますね。
また、クラシックに駒を進めた当クラブ所属のマジェスティハーツと同じ父であり、本馬も同様の可能性を持つ素材であることは確かでしょう。

繰り返しになりますが、今後も大きなレースで「ディープに勝つのはハーツだけ」という宿命めいたものが呼び起き、先行募集馬2も同じ夢を見せてくれる気がしています。

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プロフィール
上坂由香(エッセイスト)

札幌市生まれ
初めて買った馬券が的中し(ウオッカの日本ダービーで馬単)ビギナーズラックが実在すると身をもって証明。
38歳から乗馬もはじめ馬産地や牧場・乗馬クラブを訪ねては馬と戯れ馬に乗る。
「夜間放牧」と称して飲み歩き知らないおじさんと競馬の話をするのが好き。

第6回Gallopエッセイ大賞受賞
週刊Gallop「競馬の流儀」リレーコラムを連載中
道新オントナWebコラム連載中

JBIS-Searchと競走馬ふるさと案内所とのコラボ企画、競馬女子部として活動中
競馬女子部ブログ→http://girls.jbis.or.jp/

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