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ブランド戦略で観客増のブンデス。
ドルトムントに学ぶライト層獲得法。 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byItaru Chiba

posted2013/12/02 10:30

ブランド戦略で観客増のブンデス。ドルトムントに学ぶライト層獲得法。<Number Web> photograph by Itaru Chiba

経営危機で失墜したブランドイメージを高めるため、マーケティング会社と契約し、生まれ変わったボルシア・ドルトムント。ゴール裏はいつも超満員だ。

「1つのボール、2つのゴール、そして44,000人の職」

 また、2013年8月には、こんな広告を作製した。

「フットボールはとても単純だ。1つのボール、2つのゴール、そして44,000人分の職を生み出している」

 ブンデスリーガが存在することによって、社会にこれだけの貢献をしていますよ、ということを強調したのだ。ドルトムントの戦略に比べるとやや大人しいきらいがあるが、リーグとしてはこれくらいの方がちょうどいいのかもしれない。

 他のクラブも負けてない。2011年5月、北部の名門ハンブルガーSVは、ハンブルクのデザイン会社『Mutabor』と契約。キャッチコピーは「NUR DER HSV」(HSVだけ)。その戦略イメージは、この動画を見てもらうのが手っ取り早いだろう。

ライト層に働きかける試みとして、参考にならないか。

 スタイリッシュなポスターを街中に展開し、ドルトムントと同じようにスタジアム・マガジンを刷新。2012年のクラブ125周年のときは、ハンブルガーSVの伝説的な選手たちをモチーフにした絵画のようなポスターを作った。公式ショップのバッグも、ユニフォーム型の特別記念バージョンに切り替わった。

『Mutabor』の設立者のひとり、ハインリッヒ・パラビチーニは自社のWEBサイトでこう語った。

「HSVは伝統があるだけでなく、ヨーロッパで最もクリエイティブな街のひとつに位置する近代的なクラブ。私たちはクラブのデザインコンセプトをさらにモダンなものへと成長させ、ビジュアル面の価値を高めました」

 マーケティング会社やデザイン会社との提携は相応のコストがかかるし、イメージアップがすぐに集客につながるわけではない。だが、ライト層に働きかける試みとして、他のリーグのクラブにとっても、参考材料のひとつになるだろう。

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