KEIBA VISIONBACK NUMBER

未来のスターホース。ハクサンムーン近親馬が見据える未来~ユニオンオーナーズクラブ所属ペガサス15~ 

text by

PROFILE

posted2013/11/22 18:45

未来のスターホース。ハクサンムーン近親馬が見据える未来~ユニオンオーナーズクラブ所属ペガサス15~<Number Web>

11月中旬。北海道では初雪が降り始め、馬産地では初めて冬を迎える当歳馬たちも、上空から舞い降りてくる白くてふわふわしたものを眺めながら、少しずつ冬毛を伸ばしてゆく頃になりました。
毎週行われるG1レースの賑わいが、仔馬たちにとってまだ遠い場所にあるとしても、この時期特有の『血のざわめき』を、不思議な思いで感じているかもしれませんね。

近年、短距離界の王者といえばロードカナロアですが、セントウルステークス(G2)でハクサンムーンが競り勝ったように、両者のライバル関係がよりいっそうこの距離のレースを面白いものにしてくれていると思います。長い競馬史の中で、同じ距離を得意とするライバルの存在は、生まれ持った実力を最大限に引き出す好材料になり、さまざまなドラマをつくりあげてくれました。

今回は、そのハクサンムーンの近親にあたるユニオンオーナーズクラブの募集馬ペガサス15(牝 栃栗毛 3月28日 白井牧場生産 関西・笹田和秀厩舎入厩予定)をご紹介します。

父は1998年の日本ダービーを制し、翌年の天皇賞・秋やジャパンカップを優勝したスペシャルウィーク。母は白井牧場の至宝であるゲラン一族のメガミゲランです。兄シャルルゲラン、姉チリエージェ(ハクサンムーンの母)は5勝。ファミリーのクランドールゲランやベイビーイッツユーは現在も活躍中です。
短距離を得意としていた母の持つスピード能力の高さに加えて、父がその名を轟かせたクラシックディスタンスの敵性が融合され、ペガサス15の活躍する舞台の奥行きが広がりました。

スペシャルウィークの代表産駒には、歴史的女傑であるブエナビスタ(天皇賞・秋、ジャパンカップ)や、シーザリオ(オークス、アメリカンオークス)と、牡馬を蹴散らし、一時代をつくりあげた大物名牝が輩出されています。彼の父サンデーサイレンスや母父のマルゼンスキーの血統は、ポテンシャルの高さとともに、気性の強さを表に出す傾向にありますが、そのイメージとは違い、スペシャルウィークは実に穏やかな性格をしています。
ひとの声をよく聞き、競馬を覚えるために必要な賢さがそのまま産駒たちに受け継がれ、結果的に功を奏するのでしょう。

ペガサス15の馬体を見ると、前駆の筋肉が力強く発達し、のびやかな背中のラインは父から受け継がれました。バネの効いた軽やかな後躯は、スプリンターの母に似ているのでしょうか。古馬になって本格化した母の成績表をみていると、息の長い活躍も大いに期待できますね。
毎年馬産地で行われるセリやセールなどでは「スペシャルウィークは牝馬を買え」というささやきを、現場で何度も耳にしたことがあり、牝馬のペガサス15も、夢のような活躍を約束された募集馬なのかもしれません。

G1戦6勝の名牝中の名牝ブエナビスタに続く超大物産駒が待たれるスペシャルウィークから、5代まで遡ったインブリードであるマルゼンスキー とノーザンダンサーのクロスを受け継ぐベガサス15。これ以上ない伝統的な血統に裏づけされた背景も魅力的ですね。

仔馬たちは冬が大好きだといいます。放牧地が雪に覆われても、寒さに負けず元気に駆け回り、時には寝転んで、ちょっぴりくすぐったい冬毛に雪をたくさんつけてはしゃぐ姿を馬産地で見ることができます。
競走馬になるために入厩する日も近づいてきました。
それまでは、北海道生まれの仔馬らしく白い息をもうもうと吐きながら、雪の中で楽しく走り回っていてほしいと思います。

-------------------
プロフィール
上坂由香(エッセイスト)

札幌市生まれ
初めて買った馬券が的中し(ウオッカの日本ダービーで馬単)ビギナーズラックが実在すると身をもって証明。
38歳から乗馬もはじめ馬産地や牧場・乗馬クラブを訪ねては馬と戯れ馬に乗る。
「夜間放牧」と称して飲み歩き知らないおじさんと競馬の話をするのが好き。

第6回Gallopエッセイ大賞受賞
週刊Gallop「競馬の流儀」リレーコラムを連載中
道新オントナWebコラム連載中

JBIS-Searchと競走馬ふるさと案内所とのコラボ企画、競馬女子部として活動中
競馬女子部ブログ→http://girls.jbis.or.jp/

関連キーワード

ページトップ