Sports Graphic NumberBACK NUMBER

<トロントに愛された野球小僧> 川崎宗則 「笑い飛ばして、今日もまた」 

text by

石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

PROFILE

photograph byNaoya Sanuki

posted2013/11/20 06:00

<トロントに愛された野球小僧> 川崎宗則 「笑い飛ばして、今日もまた」<Number Web> photograph by Naoya Sanuki
開幕はマイナーで迎えたが、メジャーに昇格。
残した数字はすべてにおいて去年を上回り、
ファンにも、チームメイトにも愛された。
どんな時も前に出る彼の生き方の原点とは?

 わずか半年でトロントの野球好きの心を掴んだ、川崎宗則。彼は地元メディアの取材に軽妙な受け答えをして、人気を集めた。

 マイネーム、イズ、ムネノリ、カワサキ、アイム、ジャパニーーーーーーーズ!

 メジャー初のホームランを打ったとき、サヨナラヒットを打ったとき、チームメイトもファンも我がことのように喜んだのは、英語のできない川崎がマル秘のメモを持ち歩いて英語を話そうとする姿を、愛していたからだ。

川崎宗則 Munenori Kawasaki
1981年6月3日、鹿児島県生まれ。'00年にダイエー入団。'03年、レギュラーに定着し日本一に貢献。'04年に最多安打、盗塁王を獲得するなど、ホークスの中心選手として活躍。'12年、FAでマリナーズ入団。今季はブルージェイズで96試合に出場、打率.229。10月、自由契約に。178cm、75kg。

 そのメモは去年のオフ、川崎が妻と二人で福岡の英会話教室に通ったとき、彼女が作ってくれた英語ノートだった。そのノートには、英会話の練習の成果が、びっしりと書き込まれているのだという。

「違う違う、英会話の練習じゃなくて、ヒーローになる練習。オフにずっと、ヒーローインタビューの練習をしてたから(笑)。“My teammates give me an opportunity.”……あれっ、忘れた、やばい、何だっけ、あっ、“I wanted to do something about it.”だ。週に2回、英会話教室行って、ヒーローになる練習をしてたんですよ。実際、役に立ったからね。トロントで、ヒーローになった。でも、メモを見ないで言うつもりだったのに、メモを見たから練習は生きなかったね(笑)。

 そりゃ、通訳がいたら助かりますけど、チームメイトが助けてくれますから。英語がわからなくても、“I don't need translator!”(通訳は必要ない)“Because I have you!”(オレにはお前らがいるじゃねえか)。この“you”のところでアクションつけて、でかい声で言えば、『よし、じゃあ、俺が通訳になってやる』ってヤツが続出(笑)。みんな、一生懸命、ゆっくり話そうとしてくれるんです」

初本塁打を放ち、打率も昨年よりアップした2年目。

 川崎宗則、メジャー2年目のシーズン。

 1年目はフルシーズン、メジャーリーガーとして、マリナーズで61試合に出場した。104打数20安打、打点7、盗塁2。長打は二塁打が1本だけの、打率.192。

 2年目はブルージェイズのマイナーで開幕を迎え、3度のメジャー昇格、2度のマイナー降格を味わった。それでも、メジャー2年目に残った数字は、すべてにおいて1年目を上回っている。96試合に出場し、240打数55安打、打点24、盗塁7。長打は二塁打6本、三塁打5本、ホームランは1本。打率は1年目より3分上がって.229だ。

【次ページ】 「自分では何かができたという感じはないんです」

<< BACK 1 2 3 NEXT >>
1/3ページ
関連キーワード
川崎宗則
トロント・ブルージェイズ

ページトップ