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[バンクーバー冬季五輪/フィギュアスケート男子シングル] 「ガラスのハート」ではない。強くなった高橋大輔の「有言実行」。 

photograph byNaoya Sanuki/JMPA

photograph at2010/2/19

高橋大輔

4回転ジャンプに懸けたプライド。

「ガラスのハート」。高橋大輔はかつてメンタルの弱さからそう呼ばれていた。しかし今回は違う。攻める姿勢を崩さず、事前に宣言していた通り冒頭の4回転ジャンプに挑んだ。
 結果は――、転倒。

 以前の高橋なら、ここから崩れてしまっただろう。トリノ五輪ではフリーで4回転に失敗し、そこから持ち直せずに順位を下げたという苦い経験がある。しかし今回、立ち上がった高橋は緊張した表情が和らいで、より豊かになった表現力で会場を沸かせたのだ。客席の盛り上がりでは高橋が上位の2人よりも勝っていたようだった。演技力であれだけ客席を沸かせられた日本人選手はこれまでいなかったのではないだろうか。

 高橋の成長の陰には、怪我との戦いがあった。一昨年に右膝の靭帯断裂、半月板損傷という大怪我を負い、ジャンプの着地に使う大事な右脚を故障した。「その時はここに立てるとは思っていなかった」というが、リハビリの過程で柔軟性とメンタルの強さを手に入れた。地獄から帰還してバンクーバーに臨んだ高橋の表情は力強かった。

 高橋はSP上位者3人による会見の際、長野五輪以降の五輪王者が皆4回転ジャンプを決めていることを引き合いに出して「僕には必要」と語った。膝に不安を抱えながら、諦めることなく挑んだ勇気を讃えたい。
「バンクーバーでまず成し遂げたいと思っているのは、大舞台で自分に負けない、プレッシャーに負けずに演技する、ということ」と語っていた高橋。血のにじむような練習を重ね、舞台経験を積むためにアイスショーにも出演して自信を深めてきた。その有言実行の結実が、今回のメダルだったのだ。

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