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ピルロ、ブッフォンにも老いの波が。
“野生児”はユーベの窮地を救えるか。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2013/11/06 10:31

ピルロ、ブッフォンにも老いの波が。“野生児”はユーベの窮地を救えるか。<Number Web> photograph by AFLO

ピルロ(右)とブッフォン(中央)にゴールを祝福されるテベス(左)。野生児の存在は、長らくチームを支えてきたベテランたちの復活を促すか。

 貴婦人の足取りが、どこか危うい。

 3連覇を目指す王者ユベントスは、10節を終えてナポリと同じ2位につけている。やはりリーグ2位の22得点を挙げ、首位ローマ追走は一見順調に見えるが、その試合内容からは近年のイタリアを制圧していた気迫が伝わってこない。

 集中力の欠如は、過去2シーズンと比べて早まっている失点のペースに表れている。

 FWロッシ(フィオレンティーナ)にハットトリックを許した8節終了時点で、失点は二桁に到達。無敗優勝を遂げた2季前、10失点目を記録したのは、開幕後13節目だった。さらに、3人のセンターバックによる機能的守備がほぼ完成の域に達し、1年を通してわずか24失点しか許さなかった昨季と比べると6試合も早い。

 コンテ体制発足以来のワースト記録となるフィオレンティーナ戦での4失点大敗のショックは大きく、直後のCLでも苦杯を喫した。グループリーグ突破には黄信号が灯っている。

「どんな伝説的な選手も老いからは逃れられない」

 苦しんでいるのは、ベテランたちだ。

 ドイツW杯も制したイタリア代表DFバルザーリは「昨年までなら考えられないミスをしている」と、3バックのマークミスを自戒する。守護神ブッフォンは、ミドルレンジ・シュートへの反応が鈍くなり「残念だが、どんな伝説的選手も老いからは逃れられない」と地元紙の酷評を受けた。

 34歳の大黒柱ピルロにも、パスの選択ミスや運動量の減少など衰えが忍び寄り始めている。4節ベローナ戦で途中交代を命じられ、不満を抱いた司令塔は、ベンチに留まることなくロッカールームへ直行。チームの内規を無視した態度が問題視された。

 開幕カードのサンプドリア戦からして雨中の辛勝だった。5節キエーボ戦では相手FWパロスキのゴールが取り消される幸運に恵まれ、逆にMFポグバによるトリノ・ダービーの決勝ゴールが実はオフサイドだったように、明らかな誤審に救われた試合もあった。

「今季のユーベは、昨年までのユーベじゃない」

 王者の綻びを感じ取っているのは、そう語るフィオレンティーナ主将パスクアルだけではないはずだ。

【次ページ】 両脚と思考が止まる“ブラックアウト”状態。

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