SCORE CARDBACK NUMBER

山本真弘が肌で感じた、
世界との圧倒的な力の差。
~61kg級王者ヴィールセンへの挑戦~ 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

PROFILE

photograph byBen Pontier/EFN

posted2011/01/05 06:00

山本真弘が肌で感じた、世界との圧倒的な力の差。~61kg級王者ヴィールセンへの挑戦~<Number Web> photograph by Ben Pontier/EFN

 これが世界の壁なのか。12月11日(現地時間)、ギリシャで行なわれた欧州最大の格闘技イベント『IT 'S SHOWTIME』で山本真弘はセルジオ・ヴィールセンの保持する61kg級世界王座に挑戦したが、3RTKO負けを喫した。

 スピードマスターと呼ばれる山本はフェザー級から60kg級では国内で敵なし。63kg以下のK-1ライト級では体格差に泣いたが、本人も周囲も「61kg級ならば、世界で十分通用する」と読んだうえでの挑戦だった。

 もっとも、たかが1kg、されど1kg。国内の60kg級では全く感じなかったパワーの差も、海外の61kg級では大きなハンディとなって現れた。山本は想像以上に王者の圧力が強かったと振り返る。

「パンチひとつとっても、日本人のそれとは感覚が違う。とくに当たった時のインパクトはバチ~ンと響く感じだった」

 1R、山本はヴィールセンのカウンターのヒザ蹴りでダウンを許した。
「あんなヒザ蹴りを食らったのは初めて。ドンピシャのタイミングで決められたので、カウント5まで呼吸することすらできなかった」

「これまでで一番悔しい敗北」と雪辱を誓う山本。

 これまで闘った日本人選手からは一度も受けたことのない獰猛さも感じた。

「ヴィールセンの攻めにはセオリーに則った形がない。(予備動作なしに)いきなりフックを打ってきたかと思えば、いきなりボディを打ってくる。そのムードといい、彼は完全な野性児ですよ」

 大会前日、ヴィールセンは搭乗予定だった飛行機にアクシデントで乗れず、試合当日の深夜に計量を行なうなど、決してコンディションは万全ではなかった。

 案の定、2Rになると動きが鈍くなり、山本にローキックで攻め込まれた。が、3Rになると、運によって勝負の流れを引っくり返した。顔面をかすったヒザ蹴りで山本は右瞼の古傷がパックリと開いてしまったのだ。これで山本は出血多量となり、ドクターに試合を止められた。

 山本は「これまでで一番悔しい敗北」と雪辱を誓う。そのためには、まずパワーの差を克服しなければならない。やるべきことは「走り込みと筋トレによる下半身の強化」と自覚している。時間のかかる作業だが、地道な積み重ねが一番重要だ。ひとつずつ課題をクリアしていかなければ、世界の頂には届かない。

■関連コラム► K-1の“常識”に挑み続けた、軽量級キックボクサーの石川直生。
► 『Krushライト級GP』という、危険で濃密なジェットコースター体験。

関連キーワード
山本真弘
セルジオ・ヴィールセン

ページトップ