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大学選手権の好勝負を
予感させたジュニア決勝。
~ラグビー大学日本一に向けて~ 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNobuhiko Otomo

posted2010/12/25 08:00

大学選手権の好勝負を予感させたジュニア決勝。~ラグビー大学日本一に向けて~<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

終了間際に逆転ゴールを決めた小林が高々とトロフィーを掲げる。右はゲーム主将の上田

 記者の数は少なくても、その日のプレスルームで飛び交う言葉は熱く、コクがあった。

「普段の練習では、いつもAチームをぶっ倒そう、マットさん(林雅人監督)を驚かせるくらいやってやろうと心がけてます。結構フラストレーションが溜まることもありますけど」

 12月12日。関東大学ジュニア選手権決勝で、東海大を破り初優勝を飾った慶大のゲーム主将、LO上田元樹はそう言って笑った。取材を受ける様子をおどけながらデジカメで撮影していた林雅人監督が、真顔に戻って付け加える。

「試合前の実戦形式の練習では、Aチームに勢いをつけて送り出すため、反則してないのにBのペナルティをとったりするんです。Aを乗せるためとはいえ、彼らも『オレたちは“台”じゃない、Aを目指してるんだ』という反発もあるはず。その分、Bはモチベーションが凄い」

過去10年のうち8回、ジュニア優勝校が大学選手権も優勝。

 関東大学ジュニア選手権は今季で32回目。実戦経験の少ない控え選手に試合機会を与えるために始まった大会だ。この日の決勝では、両チームともファーストジャージーを着用。全員が迷わず前に出る東海のまっすぐな強さと、そこに低いタックルで挑む慶大の勇気は互いに譲らず。終了直前、慶大がFL高橋立寛のトライとFB小林俊雄のゴールで逆転したが、その後も再逆転に肉薄した東海の猛攻は見応えがあった。19対17の紙一重で決着した両校は、大学選手権で順当に勝ち進めば準決勝で再び対決する。

 つくづく、ジュニア選手権はチームを映す鏡だと思う。外国人留学生や、高校からのトップ選手はすぐAに上がってしまう。Bは、飛び抜けた一部の選手に頼れない分、チームの実情が如実に現れる。日本代表のFLマイケル・リーチがいなくても東海はパワフルかつ愚直に身体を張り続け、慶大は早慶戦のSH古岡承勲のようにゴール寸前でトライを阻止するタックルを見舞った。そして、過去10年のうち、8度はジュニア優勝校がそのまま大学選手権も優勝している。

「じゃあ、大学選手権はやらずに、このまま慣例で優勝を決めましょうか」と林監督は笑わせた。厳しいドローになった大学選手権を勝ち抜き、もし再戦が実現したら、そこではジュニアで身体を張った選手も戦っているに違いない。

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