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FA市場を揺るがす
“史上最悪”の大型契約。
~ダルビッシュのメジャー挑戦に影~ 

text by

四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byYukihito Taguchi

posted2010/12/24 06:00

FA市場を揺るがす“史上最悪”の大型契約。~ダルビッシュのメジャー挑戦に影~<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 長引く景気低迷をよそに、耳を疑うようなビッグマネーが飛び交い始めた。ストーブリーグも中盤に入り、メジャー関係者が一堂に会するウインター・ミーティングを機に、FA市場がダイナミックに動きはじめたのである。

 きっかけは、ナショナルズがジェイソン・ワースを7年1億2600万ドル(約104億円)もの高額で獲得したことだった。これまでマネー合戦には無縁のナショナルズが、来季32歳のワースと異例の長期契約を交わしたことで、各球団は財布の紐を緩めざるを得なくなった。

 突然の「価格破壊」に敏感に反応したのが、レッドソックスだった。まずパドレスから大砲エイドリアン・ゴンザレスをトレードで獲得。さらに宿敵ヤンキースのキャッシュマンGMが、今オフの目玉、カール・クロフォードと会食した直後、7年1億4200万ドルと史上9位となる大型契約で争奪戦に決着を付けた。

“年俸抑止力”を崩壊させたナショナルズへの批判。

 実際、ここ数年のFA市場は、粛々と動いてきた。'00年前後の「MLBバブル」が弾けた後は、各球団とも総年俸削減を進め、球界内の抑止力という観点からも大型契約は敬遠されてきた。その一方で、放映権料の長期契約を締結するなど、大リーグの経営は安定し始めていた。ナショナルズは景気回復を見込んだ先行投資、一方のレッドソックスは'12年の本拠地フェンウェイパーク開設100周年へ向け、勝負をかけた補強だった。

 ワース、クロフォードとも好選手とはいえ、新契約の条件が適正価格かと言えば、否定的な意見が圧倒的である。一部の米メディアはワースの契約を「史上最悪」と酷評し、複数のGMは抑止力を崩壊させたナショナルズに対し、批判の声を漏らした。ヤンキースは交渉中だったクリフ・リーに対し、6年契約の提示を7年に変更するなど条件見直しを強いられた(その後、フィリーズ入りが決定)。

 各球団が懸念するのは、今オフだけではない。来オフには、現役最強打者と言われるアルバート・プホルス(カージナルス)がFAとなる。既に、相場は1年平均3500万ドルとも言われており、史上最高額の争奪戦は必至。噂される日本ハム・ダルビッシュのポスティングにも影響すると見られており、「ワース・ショック」が、当分の間、後を引くことは間違いなさそうだ。

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