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未完の大器、ウォールが
迎えた正念場のシーズン。
~NBA4年目、ウィザーズを高みへ~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byGetty Images

posted2013/11/01 06:00

未完の大器、ウォールが迎えた正念場のシーズン。~NBA4年目、ウィザーズを高みへ~<Number Web> photograph by Getty Images

現地メディアの報道には、ウォール本来の才能の「開花」「証明」を期待する言葉が躍る。

 ジョン・ウォールは今でも、あの朝かかってきた電話を覚えているという。16歳の時、高校の一軍メンバーが発表された日、先に学校に着いて結果を見た親友からの電話だった。

「お前、チームから落とされたぞ」と言われ、てっきり、からかわれているのかと思った。しかし学校に行ってみると、本当に、合格者リストに自分の名前がなかったのだ。当然入ると思っていただけに、青天の霹靂だった。

「今から思うと、あの時に落とされてよかった。あの悔しさが今もモチベーションになっている」とウォールは振り返る。

 その悔しさを胸に、その後転校した先の高校で活躍し、全米でもトップクラスの有望選手と認められるまでになった。名門ケンタッキー大に進学し、'10年のNBAドラフトでは、トップ指名でワシントン・ウィザーズに入った。

 もっとも、NBAに入った後には、また苦悩の時期が待っていた。成績が低迷するチームで悩み、自信すら失った。さらに昨季は膝蓋骨の故障で前半を欠場するなど、思うようにいかない3シーズンを過ごした。周囲からは「期待外れ」「過大評価」との批判も聞こえてきた。確かに、抜群のスピードやジャンプ力を持つ一方で、シュート確率が低く、ターンオーバーが多いなど未熟な面も目についた。

シューズの「プレイオフ」という文字に込めた思い。

 それでも、今年夏にウィザーズがウォールの契約を5年間8000万ドルの最高額で延長したのは、何よりも彼の競争心の強さを買ってのことだった。

 プロ4シーズン目の今季は正念場のシーズンでもある。目標は、まだ一度も経験していないプレイオフ出場だ。

 明るい材料もある。昨季半ばに故障から復帰した後のウォールは、18.5点、7.6アシストと、リーグのトップガードと比べて遜色ない数字をあげた。チームも彼の復帰後は24勝25敗と、ほぼ5割の成績を残した。シーズンを通して同じペースで戦うことができれば、プレイオフもすぐ手の届くところにある。

 そのことを自分自身に言い聞かせ、世界中に宣言するために、今シーズン、毎試合前、シューズに「プレイオフ」の文字を書くつもりだという。

「今まで以上にプレッシャーを感じるけれど、逃げも隠れもしない。歓迎だ。自分にできるのは勝つことだけだ」

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