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K-1スタイルがキックを圧倒!!
Krush初代王座決定トーナメント。 

text by

橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byTakao Masaki

posted2010/12/20 10:30

K-1スタイルがキックを圧倒!!Krush初代王座決定トーナメント。<Number Web> photograph by Takao Masaki

60kg級、初代王座決定トーナメント1回戦。石川直生は3R判定2-0で卜部弘嵩に敗れ、がっくりと肩を落としリングに立ちすくんだ。これで石川は直近の試合3連敗となった

若手選手たちがKrushを変えていく、激動の時代が到来!

 この試合でも、若い卜部の落ち着きが目立った形だ。判定は2-0だった。

「石川選手の攻撃は想定内でした。完全に時代が動いてるのを感じますね。優勝候補の寺戸選手、石川選手に日下部くんと僕が勝ったんで」

 試合後、卜部は世代交代への確かな手応えを語った。コメント以上に雄弁なのは、彼と日下部の試合ぶりと結果だ。

 もしかしたら、キックボクシングファンの多くは「石川、寺戸が負けてしまった」と感じているかもしれない。しかし現状を的確に表現するなら「卜部、日下部が実力を見せつけた」のである。“主語”はあくまで若い選手たちなのだ。

 それくらい、彼らは強かった。ヒジ、首相撲ありのキックボクシングで育った石川、寺戸にとって、それらが禁止されたK-1ルールは“対応するもの”である。だが卜部や日下部たちの世代はK-1甲子園、Krushが主戦場であり、K-1ルールでのファイトスタイルこそが本領。そこにジュニア時代からの経験を付け加えると、最初から“挑む側”は旧世代だったのではないかとさえ思えてくる。

 時代は変わった。キックボクシングでの実績、キックボクシングへの思い入れはここではほとんど意味をなさない。Krushの世界観は、若い選手たちによって構築されていく。ベテランたちに再び脚光が当たるとすれば、それは彼らが“かけだしのKrushファイター”として出直し、若い選手に“追いついた”時だろう。

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日下部竜也
寺戸伸近
卜部弘嵩
石川直生

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