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「ファウルは女友達のようなものさ」
ネイマール“ダイブ”論争の行方は? 

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工藤拓

工藤拓Taku Kudo

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photograph byREUTERS/AFLO

posted2013/10/18 10:32

「ファウルは女友達のようなものさ」ネイマール“ダイブ”論争の行方は?<Number Web> photograph by REUTERS/AFLO

バジャドリーとの試合でも執拗なマークを受けたネイマール。彼のドリブルが相手にとって脅威である限り、この問題は決して終わることはないだろう。

 スペイン語ではファウル欲しさにわざと倒れる行為を「ピスシナ(=プール)に飛び込む」、その行為を行った選手を「ピスシネロ」と表現する。英語で言う「ダイビング/ダイブ」、「ダイバー」のことだ。

 また、大して痛くないのに時間稼ぎやファウルをアピールするために大袈裟に痛がるような行為は「テアトロ(=芝居)」、その行為を行った選手は「テアトレロ(=芝居好き)」と呼ばれる。

 中南米諸国と同じく、これらのシミュレーション行為はスペインでもほぼ毎試合目にする日常の光景となっている。選手達も子供の頃からそのような習慣が身についているため、特別意識することなくほぼ反射的に行なってしまうことも多々ある。

 とはいえ、それが悪い行為だという認識はある。特に現在ではレフェリーを欺くことはできても、一挙手一投足を捉えているテレビカメラの目を逃れることはほぼ不可能になった。ゆえに巧みな演技で有利な判定を導いた選手は、その代償として関係者やメディアから大いに批判を受けることになる。

軽い蹴りに痛みを訴え、相手マークを退場に。

 10月1日に行われたチャンピオンズリーグ第2節、セルティック対バルセロナ戦の58分に起きた出来事もその1つだ。

 ネイマールのドリブル突破をファウルで止めた直後、スコット・ブラウンが勢い余ってピッチに倒れたネイマールの背中に軽く蹴りを見舞う。悲痛の表情で痛みを訴えるネイマール。これを見たレフェリーは迷わずブラウンにレッドカードを提示した。

 この時ネイマールが見せたリアクションがレッドカードを誘発したと解釈したのだろう。その後セルティック・パークを埋め尽くした大男たちはネイマールがボールに触れる度、怒号のようなブーイングを浴びせるようになる。

 試合後には、セルティックのニール・レノン監督が会見の席でファンの怒りを代弁していた。

「フットボールは肉弾戦を伴うスポーツだがこうしたネイマールの大袈裟な振る舞いは何の助けにもならない」

 その4日後。バジャドリーをホームに迎えたリーガ・エスパニョーラ第8節にて、ネイマールは再び敵将から名指しで批判を受けた。

【次ページ】 過熱する“ダイブ論争”にモウリーニョも参戦。

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