KEIBA VISIONBACK NUMBER

【血統評論家栗山求の勝負目線】菊花賞血統的考察 

text by

PROFILE

posted2013/10/17 13:40

【血統評論家栗山求の勝負目線】菊花賞血統的考察<Number Web>

先週の秋華賞は
○メイショウマンボ(3番人気)→◎スマートレイアー(2番人気)という決着。
二冠を達成したメイショウマンボは地力の高さをまざまざと見せつけた。

4着に敗れた▲デニムアンドルビー(1番人気)のような
レース下手ではなく、自在に立ち回れるのが大きな武器だ。

スマートレイアーが出遅れることなく中団のインで
競馬が出来ていればひょっとしたら逆転していたかもしれない。

ただ、ゲートのなかでイレ込んでしまったのも実力であり、
今回のレースはメイショウマンボの完勝といっていいだろう。

3着リラコサージュ(15番人気)は先週の当欄で
二度も名前を挙げたのだが印が回らなかった。

次走、エリザベス女王杯でこの4頭がぶつかればまた違った結果が出るだろう。
今回よりも直線が長くなるのでデニムアンドルビーも競馬がしやすくなる。

さて、今週は菊花賞(G1・芝3000m)。

ここ3年、神戸新聞杯の勝ち馬が2、1、1着と連対を外していない。

今年の神戸新聞杯の勝ち馬エピファネイアが
優勝への最短距離に立っていることは間違いない。

神戸新聞杯は07年から距離が2ハロン延びて2400mとなった。

この年から09年まで神戸新聞杯の勝ち馬は菊花賞で連対していない。

07年のドリームジャーニーは本番で4着、
08年のディープスカイは出走せず、09年のイコピコは4着だった。
連対を外したドリームジャーニーとイコピコには2つ共通点がある。

ひとつは神戸新聞杯の人気。
前者は4番人気、後者は7番人気だった。

近3年で連対を果たしたローズキングダム、オルフェーヴル、
ゴールドシップはそれぞれ神戸新聞杯で2、1、1番人気だった。

つまり、神戸新聞杯を人気で勝った馬は本番でも信頼できるが、
そうでなければ怪しい、ということだ。

もうひとつは位置取り。

ドリームジャーニーは神戸新聞杯の4コーナーで12番手、
イコピコは9番手で、いずれも直線で鮮やかに追い込んで差し切った。

早い話がハマったわけで、だからこそ伏兵でも届いたといえる。

前者はのちに有馬記念を勝つなど日本を代表する競走馬となったが、
3歳秋の時点では体力面で物足りず、
本質的には2000mあたりで切れ味を活かすレースに向いていた。

前置きが長くなったが、今年の神戸新聞杯を勝ったエピファネイアは、
「1番人気」で4コーナーの位置取りは「4番手」。

好走するパターンに分類できる走りだったので、
ここで崩れることはないだろう。

父シンボリクリスエスは現役時代に有馬記念を2連覇し、
母シーザリオはオークス馬。

父がロベルト系で2代母の父がサドラーズウェルズという
タフで粘り強い血統構成なので、3000mでガス欠を起こすことはない。

ダービーは終始掛かり気味で3コーナーでは落馬寸前の不利。
にもかかわらず勝ったキズナに半馬身差の2着と大健闘した。

この秋、キズナは凱旋門賞で4着と健闘し、
世界屈指の3歳馬であることを示した。

これと潜在能力では引けを取らないのだから、
派手に引っ掛かりでもしないかぎり、
同世代相手に馬券圏内から外れるシーンは想像しづらい。
相手探しのレースといえるだろう。

菊花賞は、実力的に抜きん出た中距離馬が勝つことは珍しくないが、
人気薄で突っ込んできた伏兵は必ず血統的な裏付けがある。

ロベルト、サドラーズウェルズ、リボー系といった血を持つ馬は注意が必要だ。
長距離戦ではベタな血統買いがハマることが多い。

父が現役時代に2400m以上のG1を勝っているか、
産駒が3000m以上のG1を勝っている種牡馬の子が信用できる。

これに当てはまらずに連対した馬は、
06年の2着馬ドリームパスポートまでさかのぼらなければならない。

ステイゴールドはここ2年連続で勝ち馬を出し、
ハーツクライとジャングルポケットは長距離戦の強さに定評がある。

ディープインパクトは菊花賞で過去9頭出走して3着が最高だが、
長距離戦の成績がとくに悪いわけではない。

菊花賞には勝負になりそうもない弱い馬が
賞金が足りてしまったため出走可能となったところもみられ、
単なる巡り合わせではないかと思われる。
実力があれば勝ち負けに持ち込める。

今年、上記の条件に該当するのは以下の馬たち。

■キングカメハメハ
・アドマイヤスピカ

■ディープインパクト
・インパラトール
・サトノノブレス
・ヒラボクディープ
・ラストインパクト

■シンボリクリスエス
・ウインアルザス
・エピファネイア
・ユールシンギング

■ステイゴールド
・ケイアイチョウサン

■ジャングルポケット
・ダービーフィズ
・ナリタパイレーツ
・ピュアソルジャー

■オーソライズド
・バンデ

■オペラハウス
・マイネルサンオペラ

■ハーツクライ
・マジェスティハーツ

2番人気が予想されるマジェスティハーツは、
ハーツクライ産駒である点は強調材料だが、

一方で母の血統が
「ボストンハーバー×ストームキャット×ファピアノ」なので、
本質的には長距離向きではないだろう。

神戸新聞杯を勝って本番で沈んだドリームジャーニー、
イコピコを彷彿させる終いの切れ味だけで好走した面も感じられる。
長距離で抜群に上手い武豊騎手だけに怖さはあるが、過剰評価は禁物だ。

北海道の芝2600mを勝った馬は穴人気になりやすいが、
じつはあまり来た試しがない。

バンデ、ヤマイチパートナーあたりも疑ってかかったほうがいい。

リアルシャダイの血が頼りになるレースで、
今年はサイモンラムセス、ヤマイチパートナー、
ユールシンギングの3頭が持っている。

これらは時計の掛かる馬場が望みで、
パンパンの良馬場となった場合は苦しいかもしれない。

以上の傾向を踏まえ、調教の動きなどを加味しつつ、
週末に最終結論を出したい。

-------------------
プロフィール

栗山求(くりやま・もとむ)
1968年生まれ、高校時代から血統研究にのめり込み、大学在学中の1989年に血統専門誌『週刊競馬通信』を発行する競馬通信社に入社。
編集長を務めたあと1997年に退社し、主に血統をフィールドとするフリーライターとなる。さまざまな雑誌・サイトに寄稿するほか、現在はテレビ・イベント・講演などの出演も精力的にこなす。
2010年に設立した株式会社ミエスクの代表取締役となり、血統・配合の総合競馬サイト「血統屋」を主宰する。
馬主や生産者を顧客とする配合コンサルタントの仕事が年々増えている。

ブログ→http://kuriyama.miesque.com/(毎日更新中)
血統屋→http://miesque.com/
栗山求 Official Website→http://www.miesque.com/motomu/

関連キーワード
栗山求

ページトップ