ロングトレイル奮踏記BACK NUMBER

下痢と腹痛に悩まされながら、
自らの足でオレゴンへ辿り着く。 

text by

井手裕介

井手裕介Yusuke Ide

PROFILE

photograph byYusuke Ide

posted2013/10/17 06:00

下痢と腹痛に悩まされながら、自らの足でオレゴンへ辿り着く。<Number Web> photograph by Yusuke Ide

長かったカリフォルニアを抜け、オレゴンに達した井手くん。

 ヘンプのTシャツに、良い感じに色落ちしたジーンズを腰履き。軽くロールアップした裾からは、タトゥーが覗く。足元にはエスパドリーユときた。これまで、トレイルではあまり見てこなかった、少し小洒落た感じの青年。

 マウントシャスタ麓の町からトレイルへ送ってくれた彼はLotusとHermesの友人だ。出身地のバーモント州から、この西海岸をロードトリップ中なのだとか。

 好きなバンドはPhish、日課はヨガ、そして敬虔なヴィーガンであるLotusとHermesのカップル。この旅の後に、バーモント州から西海岸に移住するらしい。

 あと一週間ほどでたどり着くであろうオレゴン州に、幾つか新居の有力候補があるという。2人にとって、このバックパッキングは、ある種のロケハンでもあるのだ。

はじめての州境越え。足取りは軽い。

 とにかく、そんな彼らのネットワークで、僕は容易にマウントシャスタ麓の町を飛び出した。

ハイカー仲間でマウントシャスタの麓からトレイルへ戻る。 

 前日にヨガ教室でLotusと会い、彼らと町にもう一泊滞在したのが吉と出た。なぜヨガ教室になんか参加したのか自分でもよく分からないが……。

 とにかく、また彼らと歩ける。

 はじめての州境越えにワクワクする僕。まさに新天地を目指す2人。足取りは軽い。

 クリスタルガイザーの採水地でもあり、地元にカルトが住み着くほどの信仰力を持った聖山、シャスタ。富士山にも似た山容を背に、進路を北に向ける。

 次の補給地点では食糧補給を済ませ次第、すぐにトレイルに戻る予定だ。8月の始まりをオレゴンで迎える為に。

【次ページ】 腹の調子が悪く、用を足しながら歩く。

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