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1785日ぶり勝利の“新生”片山晋呉。
オーガスタへ忘れ物を取りに行く。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byKYODO

posted2013/10/09 11:00

1785日ぶり勝利の“新生”片山晋呉。オーガスタへ忘れ物を取りに行く。<Number Web> photograph by KYODO

2008年11月の三井住友VISA太平洋マスターズ以来の優勝となった片山晋呉は「自分の技術が発揮できたので、これからも28勝、29勝と重ねたい」と語った。

 1998年の初優勝から11シーズンで26度の勝利を重ねてきた男が、次の1勝を掴むまでに、実に5年を要した。

 10月6日、片山晋呉がコカ・コーラ東海クラシックで長い未勝利の時間にピリオドを打った。星野英正、冨山聡との三つ巴のプレーオフを制し「誰よりも僕が一番、この時を待っていた」と声を震わせ、目には自然と光るものが浮かんだ。

 2008年に史上7人目の永久シード選手となり、'09年マスターズで日本人史上最高位の単独4位に入った片山を待っていたのは、目標達成に伴う虚無感から這い上がる戦い。1785日ぶりのツアー制覇は、キャリアに立ちはだかった重い扉をこじ開けた印象が強く残った。

 とはいえこれは、なにも突然降って湧いたような歓喜ではない。片山は昨季終盤からことあるごとに「優勝する準備はできている」と繰り返し、復調の気配を匂わせてきた。その言葉通り、今季はこの試合の直前までにトップ5入りが4度と好成績を残し続け、最近では周囲も、復活の27勝目はもはや時間の問題であると感じていた。

 しかし片山自身は、周囲が「復活のストーリー」と受け取るのを、良しとしない。

「自分の中では昔とは全く違うスタイルだから。“復活”という感じじゃないんだ。“新生”片山晋呉でやっている。今は昔よりも、上手くなっていると思えるから」

安定感を脱ぎ捨て、手にした爆発力。

 コカ・コーラ東海クラシックでの試合運びは、確かにこれまでの26勝とは違っていた。

 最強を誇っていた時代の片山には“勝ちパターン”があった。永久シード、5度目の賞金王を獲得した'08年を例にとると、勝った3試合はすべて、初日から最終日まで、それぞれのラウンド終了時に首位、または2位の順位をキープ。スタートから第一集団に入り、日々入れ替わる同伴競技者たちにプレッシャーをかけては、彼らを退けていく。そんな強さが際立っていた。

 しかしこの試合は予選ラウンドを49位で通過、8バーディの64を叩き出した3日目に7位に浮上。最終日はトップから4打差でスタートして、プレーオフに持ち込む大逆転劇だった。

 ちなみにその前週のパナソニックオープンでは、初日に2位に2打差、3位には6打差をつける、ぶっちぎりの単独首位スタートを切ったかと思えば、翌日以降は沈黙し27位に終わっていた。ビッグスコアも出すが、一方で大崩れもする。結果として、抜群の安定感を誇った時代の試合運びと、違いは明らかだった。

【次ページ】 40歳になり、8ヤード伸びた飛距離の理由。

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