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世界一のコンストラクター、
モリワキのさらなる挑戦。
~モト2初年度チャンピオンに~ 

text by

佐藤洋美

佐藤洋美Hiromi Sato

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photograph byJun Goto

posted2010/12/07 06:00

世界一のコンストラクター、モリワキのさらなる挑戦。~モト2初年度チャンピオンに~<Number Web> photograph by Jun Goto

エリアスとマシンを囲んで記念撮影。モリワキとグレッシーニのスタッフに笑顔が弾けた

 近年のグランプリでは、「世界一のバイクを造る」のは巨大メーカーのみが為せる業であり、一介のマシンコンストラクターにとっては大きすぎる夢であった。しかし、今季新設されたモト2クラスはエンジンとタイヤをイコールコンディションとすることで、さまざまなコンストラクターに門戸を開いた。

 そのモト2の初年度王者に輝いたのはグレッシーニ・ホンダのT・エリアスで、マシンを開発したのは日本の誇るコンストラクター、モリワキだ。森脇護代表の35年のレース経験すべてを注ぎ込んだMD(モリワキドリーム)600の強さは、17戦中7勝を挙げるという圧倒的なもので、モリワキの力量を国内外のレースファンに知らしめた。

 今季のモト2にはモリワキ同様「世界一」を夢見るコンストラクターが多数参戦、開幕時点で15種類のマシンを見ることが出来た。最大勢力は11台を送り込んだスッターで、モリワキは6台のエントリーだった。それでも、欧州での知名度は他のコンストラクターに比べれば低く、規模も大きいわけではない。マシンをデリバリーするノウハウも手探りの状態。開幕前は戦闘力は未知数の状態だった。

「最高峰モトGPへの思いもある」と語る森脇代表。

 だが、モリワキはもともとフレーム作りに定評があり、'03年にはモトGPクラスに参戦した実績もある。さらにマシン作りの着手も他に先駆け早かった。'07年には新設クラスが出来るという噂の段階から構想を始め、'08年に社内の精鋭10人を集めてプロジェクトをスタート。'09年には全日本に参戦するなどして緻密なテストを重ねた。そして今シーズン開幕戦で、エリアスはPPを獲得。結果は4位に終わるものの、第2戦、3戦と連続優勝し、序盤から快進撃を見せた。シーズン中盤には4連勝を達成。第14戦日本GPでは7勝目を挙げ、第15戦マレーシアGPでチャンピオンを決めた。

 森脇氏の夢を支えたのは三女・緑のマネージメント能力の高さや、長男・尚護によるマシン開発への尽力、そして、スタッフたちの力の結集だった。王者決定の後、森脇氏は「幸せ者です」と微笑みながらも「まだまだ挑戦は続きます。最高峰モトGPへの思いもある」と語った。来季はグレッシーニへ移籍した高橋裕紀がMD600を駆る。モリワキの“挑戦”に、さらなる飛躍がもたらされるはずだ。

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