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いぶし銀・梵が牽引する、
鯉のクライマックス。
~赤ヘルの切り込み隊長、復活へ~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS

posted2013/10/08 06:00

2006年に新人王を獲得するも、以降は年度ごとに好不調の波が大きい梵。完全復活となるか。

2006年に新人王を獲得するも、以降は年度ごとに好不調の波が大きい梵。完全復活となるか。

 三村敏之監督で3位になった'97年を最後に、15年間もBクラスに低迷していた広島が、クライマックスシリーズ(CS)出場を決めた。

「何しろ初めてなので、どういう気持ちで臨んだらいいか、緊張するだろうな」と、このところ1番に定着している丸佳浩が言えば、2番の菊池涼介は、「自分たちの力を見せつけるチャンス」と前向きに捉えている。

「勢いは5月の鯉のぼりまで」と言われたチームが、今季は夏場に踏ん張りを見せた。8月を14勝12敗1分で乗り切ると、9月は15勝7敗1分の驚異的な快進撃で3位の座を確保。最大14もあった借金を3まで減らすことができたのは、安定した投手陣の陰で打線が固定されてきたからだ。

 1番・丸、2番・菊池、3番・キラ、4番・エルドレッド、6番・梵(そよぎ)英心。カープの顔と言われた東出輝裕も、主砲・栗原健太も、“打撃の神様”前田智徳も、売り出し中だった堂林翔太も故障でいない。その地味な打線にあって、いぶし銀の働きを見せているのが梵である。

若手に出場機会を奪われるも、ベンチで観察眼を磨いた。

 かつては1番・遊撃でチームを牽引。だが盗塁王を獲得した'10年以降、膝の手術を受けるなど、選手生命の危機に晒れた時期もあった。さらに、地元・広島出身で、野村謙二郎監督の出身校・駒大卒でありながら、若手抜擢のために二軍落ちも経験している苦労人だ。今季も、開幕の時点ではさほど期待されている存在ではなかった。以前自分が任されていた1番・遊撃のポジションには、菊池や6年目の安部友裕が座っていたのだ。

 しかし、「試合に出られなかった時にベンチで捕手の配球を見ていると、レギュラーでいた時には見えなかったことが見えてきました」と梵は語る。配球の組み立てを理解したことが、故障者が続出し、再びレギュラーとして起用されている今、役立っているという。だから他の選手が調子を落とす夏場に、規定打席未満ながらも3割を維持できたのだ。

 梵は元来、短期決戦に強い選手だ。'05年の都市対抗では2発の本塁打を含む5割2分4厘を打ち、日産自動車を準優勝に導いている。

 かつて主役を張っていた男の復活で繋がりが出てきた赤ヘル打線。CSを目前に控え、広島がかつての輝きを取り戻してきた。

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