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[バンクーバー冬季五輪/スキージャンプ・団体] 葛西紀明、チームを引っ張る実力と人望。 

photograph byNaoya Sanuki/JMPA

photograph at2010/2/23

葛西紀明

ソチ五輪を視野に。

 バンクーバー五輪のジャンプ競技の全日程が終了した。

 競技後、取材陣に囲まれていた葛西紀明がチームメイトの元に戻ってくると、4人はしっかりと抱き合った。通常、取材を受けていないメンバーはすぐに控室へと引き揚げてしまうことが多いが、チームの3人は彼を待っていた。葛西の人望の厚さと、チームの結束力がうかがい知れる場面であった。

 12年前の長野五輪では、大会2カ月前に左足首をねんざ。本来の調子を取り戻せず、団体のメンバーから外された。金メダルに沸き立つ仲間たちを横目に涙を流した男は、長野の悔しさをバンクーバー五輪にぶつけ、意地と執念の大ジャンプを世界に見せつけたのである。

 風向きの悪かった1本目でも133.5メートルを飛び、2本目は140メートルの大ジャンプで着地も完璧。競技後には「今までの中でも、満足するジャンプができた五輪だった。この年齢でまだ、世界のトップでやれる。辞めるわけにはいかない」と晴れやかな表情で、現役続行への意欲を語った。葛西にとっては、2014年ソチ五輪も視野に入る、結果以上の収穫を得た大会となったようだ。

 若手も記録を伸ばした。ラージヒルでは決勝2本目に進出すらできなかった竹内択と栃本翔平の2人も、今大会最長距離となる見事なジャンプを見せたが、それでもメダルには手が届かなかった。

 個人・団体ともにメダル0という結果に終わった日本ジャンプ界の課題は、若手選手の育成だ。斉藤智治監督は「葛西くらいのメンバーが4人そろわないと、メダルは厳しい」と現状を憂う。

 葛西と、今回出場機会のなかった岡部孝信は、'94年にリレハンメルで団体銀メダルを獲った時のメンバー。岡部は金メダルを獲った長野五輪でも団体メンバーだった。いつまでもベテラン頼みでは心もとない。葛西、岡部の後を追い、そして越えていく若手の台頭が急がれる。
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