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課題は兄弟子と同じ?
新三役・高安の実力とは。
~稀勢の里の弟弟子、小結へ~ 

text by

佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

PROFILE

photograph byKYODO

posted2013/09/15 08:00

名古屋場所の3日目に、高安は上手捻りで日馬富士に膝をつかせて2つ目の金星を奪った。

名古屋場所の3日目に、高安は上手捻りで日馬富士に膝をつかせて2つ目の金星を奪った。

 稀勢の里の弟弟子にあたる鳴戸部屋の高安は、平成生まれの23歳。186cm、163kgの体躯で、突き押し、左四つを得意とし、この9月場所は新小結として土俵に上がる。

 兄弟子の綱取りの夢が潰えた先の名古屋場所では、横綱日馬富士を相手に張り手を見舞い、出足を止めての上手捻りで金星をさらった。「畳の上では敬意を表しても、土俵では別です」ときっぱり言い切る。さらに鶴竜と琴欧洲の2大関にも土をつけ、初の殊勲賞を受賞した。

 過去2度の前頭筆頭での地位では、ともに5勝10敗と大敗。上位陣の壁にはね返されたことが、この場所での発憤材料ともなったようだ。

 それまで4戦全敗だった苦手の豊ノ島を突き出して勝ち、同じく4戦全敗だった碧山相手には、立ち合い変化でまさかの「注文相撲」。この時の高安は、「考え抜いてやったことです」と消え入りそうな声で弁明したという。真っ向勝負で挑まずに、なりふりかまわず勝ちを拾いに行った相撲に、内心では葛藤もあったのだろう。

大関になれる器だが……甘いところが多いのは稀勢の里と同じ?

 場所を終えて向かった、秋田巡業の稽古でのこと。苦杯をなめさせられた日馬富士が、高安を土俵に引っ張り出すものの、「稽古と本場所は違うけど、(高安は)力を出していないように感じた」と、その首を傾げた。愚直に手の内をさらけ出さないのも、若さゆえの「賢さ」か。ある親方は、こう高安を評す。

「体もそこそこあるし、地力は持っている。体をいかして前に出る相撲に徹すれば、もっと楽に勝てるはず。横綱相手に張り差しに行ったりと、『気持ち』は持ってるけれど、いかんせん出し切れないままで終わってしまう。そこはまったく兄弟子の稀勢の里と一緒だね(笑)。まだまだ相撲に甘いところが多いし、ムラがあるけれど、これから磨いていけば、大関になれる可能性も大きい」

 これまでは、次期大関候補と言われる豪栄道相手には分がよくとも、苦手とする平幕力士も多く、成績のアップダウンが激しくもあった。今後の課題は、兄弟子の稀勢の里同様に「安定感」だと誰もが口を揃える。

 フィリピン人の母親を持つ、陽気で人なつこい性格の若き新三役。兄弟子との切磋琢磨の日々が、実を結ぶか。

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