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精密機械の金。爆発力の石川と池田。
最終戦へ続く賞金王争いを徹底分析! 

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雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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photograph bySankei via Getty Images

posted2010/11/29 12:05

精密機械の金。爆発力の石川と池田。最終戦へ続く賞金王争いを徹底分析!<Number Web> photograph by Sankei via Getty Images

カシオワールドオープンの20位は織り込み済みだった金。

 9試合連続でトップ10入りと絶好調だったキム・キョンテも先週土曜日の3日目までは当然のように優勝争いに加わっていた。しかし、流れは些細なことで変わった。

 3日目の15番グリーン上でボールが動いたことについて、ラウンド後にツアーから殊更に“事情聴取”を受けて憤慨。これが尾を引いたのか最終日は珍しくスコアを崩した。それでも上がり3ホールで2つのバーディーを奪い、最終戦に向けて嫌な流れは断ち切ることができた。カシオワールドオープン開幕前には「このコースはロングヒッターが有利だからあんまり得意じゃない」と話していただけに、20位の結果はある程度織り込み済み。昨年プレーオフまで進出した最終戦の舞台、東京よみうりCCにしっかりと照準を合わせているはずだ。

 賞金ランク首位のキム・キョンテと同2位の石川の差は2882万9820円、同3位の池田との差は3606万769円。逆転賞金王を狙う2人は最終戦での優勝が最低条件で、その上でキム・キョンテの結果を待たなければならない。

 状況的に厳しいことは確かだが、最終戦の出場者は28人と少なく、ともに爆発力を秘めた2人だけに可能性は十分にあるだろう。

攻撃力が魅力の石川と、無類の勝負強さを誇る池田。

 ご存じのように、石川には飛距離を生かしてバーディーをもぎ取っていく攻撃力がある。バーディー率は2位以下を大きく引き離してトップに立っており、池田をして「何起こすか分からん奴だからね」と言わしめるミラクルぶりは中日クラウンズでの「58」で証明済みだ。

 波に乗ればギャラリーの大歓声も自らの武器に変えて、コースの雰囲気そのものを一変させてしまう。勝つしかないというドラマチックな状況でさえ、2年連続賞金王に挑む石川にふさわしい舞台装置に思えてくるのだ。

 池田は石川とは違ってショットのキレで勝負するタイプだが、ツボにはまった時の強さは目を見張るものがある。

 今季はANAオープンやブリヂストンオープン、ダンロップフェニックスといった個人的に思い入れの強い大会を、狙い通りにことごとく勝ち取ってきた。平均ストローク6位でありながら、今季最多の4勝を手にしている点にもここ一番での強さが現れている。

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石川遼
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