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後楽園だけでなく地方大会も大成功。
立ち技格闘技Krush、空前の充実期。 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byNorihiro Hashimoto

posted2013/09/09 10:30

後楽園だけでなく地方大会も大成功。立ち技格闘技Krush、空前の充実期。<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

9月1日のKrush名古屋大会メインイベント、野杁正明は3度目の対決ではじめて久保優太を破り「ベルトをずっと守りたい。誰の挑戦でも受ける」とコメントした。

 今年に入って後楽園ホール大会がすべてソールドアウトになるなど、大きな盛り上がりを見せている立ち技イベント『Krush』が、この夏は地方大会2連戦を開催した。

 9月1日は、昨年に続いて名古屋大会。その1週間前の8月25日には、広島に初進出を果たしている。どちらも選手のアピールで決まったものだが、その背景には「話題のKrushを自分の街でも見たい」というファンの声もあったはずだ。

 通常、格闘技イベントの地方興行は会場規模などがスケールダウンすることが多い。集客力ではどうしても首都圏のほうが上だ。マッチメイクも地元選手中心で、トップファイターの出場は少ない。“格落ち”するかわりにご当地選手の活躍が熱気を生む。それが一般的な地方興行だと言っていいだろう。

地方大会でもカードの出し惜しみはしない。

 ただし、Krushは広島でも名古屋でもそうした形をとらなかった。会場(広島県立総合体育館、名古屋国際会議場)はどちらも後楽園よりやや大きい、約2000人収容のホール。出場選手は地元出身者が多いものの、東京で組まれても遜色のないカードばかりだった。

 広島大会のダブルメインに登場したのは、運営面でも先頭に立った寺戸伸近と山本優弥。島根出身、広島で格闘技人生をスタートさせた寺戸と広島出身の山本は、どちらもKrushの看板選手だ。“東京レベル”であり、なおかつ“ご当地感”もあるラインナップである。

 しかもカードは国際戦。山本がピーター・アーツの愛弟子オンダー・ウーラルとの接戦を判定2-0で制し、寺戸はロシアのアレクサンダー・プリリップを相手にISKA世界バンタム級タイトル防衛を果たした。虎の子の世界タイトルをかけたということからも“単なる顔見せマッチにはしたくない”という意気込みが伝わってくる。

【次ページ】 広島でもKrushらしい、スリリングな打撃戦。

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野杁正明
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