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<2年連続賞金王のその先へ> 石川遼 「史上最強の19歳」 ~世界の強豪と比較して~ 

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小川勝

小川勝Masaru Ogawa

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photograph byTaku Miyamoto

posted2010/11/25 07:30

<2年連続賞金王のその先へ> 石川遼 「史上最強の19歳」 ~世界の強豪と比較して~<Number Web> photograph by Taku Miyamoto

今年の石川を明確に上回っているのはガルシアだけ。

 中でもガルシアは、19歳だった'99年、アマチュアとして4月のマスターズで38位タイ(ベストアマ)になったあと、プロに転向。全米オープンは不出場、全英オープンで予選落ちしたが、全米プロでタイガー・ウッズと優勝を争い、1打差の2位となって世界中のゴルフファンから注目された。現役選手の中で、10代のメジャー成績で今年の石川を明確に上回っているのは、この年のガルシアだけだと言っていい。

 ローズはどうだったか。彼はアマチュアの17歳で出場した'98年7月の全英オープンで4位タイに入り、センセーションを巻き起こした。大会終了直後、18歳の誕生日を迎える直前にプロに転向。しかし翌'99年も出場資格を得たメジャー大会は全英オープンだけで、この年は予選落ちしている。そして'00年はメジャー大会出場ゼロに終わって、結局、10代のうちに全英オープン以外に出場することはできなかった。

 17歳で全英オープン4位タイは素晴らしいが、総合的に考えると、石川は17歳でマスターズと全英オープンに出場(ともに予選落ち)、18歳で4大メジャーすべてに出て2試合予選を通過したのだから、10代の実績としては、石川の方が安定していることは確かだ。

20歳になる来年、石川はマキロイのように飛躍できるか。

 そして石川とほぼ同年代のマキロイ。彼の場合、最初のメジャー大会はまだアマチュアだった'07年、18歳で出場した全英オープンだった。成績は42位タイ。順位の点では、今年の石川(27位タイ)に及ばない。

 '07年9月に18歳でプロ転向して、翌'08年は欧州ツアーで活躍、メジャー大会には出場していない。したがってマキロイも「10代でのメジャー大会実績」という点では、今年の石川を超えているとは言えない。

 だが、その後順調にステップを上がっているという意味で、石川が最も強く意識しているのがマキロイであることは明らかだ。今年、全米オープンで同組になった時、そのことを公言している。

 20歳の誕生日を迎える来年、石川が目標にすべきは、マキロイが20歳になった年――'09年に残した成績だろう。次のようなものだ。

    マスターズ   20位タイ(19歳)
    全米オープン 10位タイ(20歳)
    全英オープン 47位タイ(20歳)
    全米プロ    3位タイ(20歳)

 20歳は、タイガー・ウッズがプロ転向した年齢でもある。ウッズは'96年8月27日のプロ転向以降、2カ月間で米ツアー2勝。そのあとの快進撃は、ここで繰り返す必要もないはずだ。今年まで、様々な最年少記録を作ってきた石川だが、来年は、ウッズやマキロイのように飛躍できるか、世界の舞台で真価が問われる。

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