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意外性、つぶやき、そしてケンケン。
SB・松田宣浩が楽天追撃を宣言! 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byHideki Sugiyama

posted2013/09/04 11:35

意外性、つぶやき、そしてケンケン。SB・松田宣浩が楽天追撃を宣言!<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

松田宣浩の代名詞、ケンケン。空振りでもファンを沸かせるエンターテイナーかと思いきや、これは調子のバロメーターでもあるのだ。

「1日で自分が変われる」思考と「つぶやき」。

「昨日打てなかったからといって今日打てないわけじゃない。そういうバッターだから」。秋山幸二監督は、そう言って松田の“意外性”に舌を巻く。

 例えば8月24日の西武戦。チームは7得点を挙げ快勝したが、松田は4打席連続三振を含む5打数無安打と振るわなかった。それが、翌日の試合では決勝3ランを放って快打を披露した。松田は、指揮官に“意外性”と称されるパフォーマンスについてこう説明する。

「結果は1日、1日の積み重ねですから。僕は『1日で自分が変われる』と思っているんで、常に自信をもってプレーはできていますね」

 自信の一端は、ネクストバッターズサークルで見ることができる。

 松田は毎打席、円で囲われた小さな空間でぶつぶつと、何か呪文を唱えているかのように呟く。首脳陣やチームメートは、それを「一種のルーティン」だという。松田本人も、目をパチパチさせながら首肯する。

「まあ、そうっすね(笑)。体って、まず頭を働かせないと動かないと思うんで、自分で考えていることを言葉に出しているんです。別に決まりごとがあるわけじゃないんですよ。『今日のピッチャーはスライダーがいい』とか『真っ直ぐを狙おう』とか。あとは『集中集中』みたいな時もありますし。そのとき思ったことを素直に口ずさむと心も落ち着いてくるんです」

調子のバロメーターは「ケンケン」?

 技術的なバロメーターで言えば、今や松田の代名詞にもなっている「ケンケン」がある。それは、松田の打撃状態をはかる上で重要な判断要素でもあるのだ。

 外角のボールを空振り、あるいはファウルした直後に右足が2、3歩、自然とケンケンする形になっていれば重心がしっかりと残っており、上半身と下半身のバランスがいい証拠。そうなれば、しっかりと左足を踏み込んで鋭い打球をフェアゾーンに打ち返すことができる、というわけだ。

 9月3日の日本ハム戦。2-3と1点ビハインドで迎えた6回、2死一、二塁と、長打が出れば逆転の場面で松田は空振り三振に終わった。しかし、この打席で4球ファウルした彼のスイングには「ケンケン」があった。いい状態は維持できている。9回の最終打席での安打が、それを証明していた。

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